…ということで、写真を撮りたいと思う。


「何かが、ふっと、降りてきた」
 …11月18日火曜日の夜。

漠とした言葉が、「共生」というカタチになって、
ボクの面前に顕れた。

…ということで、写真を撮りたいと思う。

幸いにして、職業柄
ボクはたくさんの人間と「共生」している。

デザイナー、写真家、プロデューサー、監督、助監督、日本語教師、
英語講師、営業マン、社長、編集者、スタイリスト、ミュージシャン、
音響屋、イラストレーター、コピーライター、プランナー、パティシエ、
モデル、ライトマン、メイキャップ、シズル師、ダンサー、サーファー、
ビール屋、電話屋、泡盛屋、理容師、彫刻家、カフェオーナー、政治家、
バーテンダー、バーオーナー、電気技師、農家、ヘリポッド反対運動家、
喫茶経営者、地質学者、水質学者、ダイバー、整体師、イベント屋、
パン屋、花屋、ラーメン屋、保険屋、板前、Tシャツ屋…まだまだ出てきそうだ。

彼らの「生」を定着させたい。

まずは、しっかりカメラ目線で捉えたい。
沖縄の地で、己の「生」に真剣な彼らの
仕事場のまなざしを受け止めてみたい。

照明器具を購入しなければ…。

できればストロボではなく、
面光の作れる蛍光灯か発光ダイオードがいいか。

いきなり具体的な思考になっている自分がいた。

 【被写体募集します。まずは、連絡を。】

【牛腸茂雄】Self and Others


釈然としないまま、散髪を終え、
そのままプールへと向かう。

旅の疲れを全身に巡らせるべく
水の中で筋肉を弛緩させる。

慣性にまかせて1キロを泳ぐ中、
アタマの中だけは、
名古屋で感じたものを言葉にしようと
ぐるぐる回転していた。

      ●

牛腸茂雄のSelf and Othersの
窓辺に佇む少女の写真が、突然想起される。

牛腸茂雄の写真がなぜ、
あれほどまで胸に迫るのか。

2005年の大森克己ワークショップで
自分がなぜ、フィリピンで撮影した妻の写真を
はじまりの1枚にしたのか。

村上春樹の処女小説「風の歌を聴け」の中で
ラジオNEBのDJが涙を流しながら、
なぜ「僕は・君たちが・好きだ」と語りかけたのか。

      ●

それらの断片が、ふわふわとつながって
木村さんの思いが、言葉になった。

      ●

そこには「共生」という言葉があった。

ボクはこの10年間、木村さんと時間を共に、
…生・き・て・い・た。…そうだった。

だからこそ、転機の思いをしっかり伝えたいと思った。

木村さんの家族から語られる木村さんの思い出に
うなづく木村さんが想起されたのも、
そこに木村さんが息づいていたからだ。

牛腸茂雄の写真には、牛腸自身の「生」が投影されていた。
そこに共鳴するから、胸に迫るのだ…と
はじめて彼の写真を意識的に言葉にすることができた。

「はじまりの1枚」が秀作なのは、
共生するふたりの時間がしっかり焼き付けられているから
…だと、解釈できたのも、「共生」というワードが出てきたからだ。

      ●

漠としていた写真の思いが、カタチになった瞬間だった。

ボクが撮らなければいけないのは、「共生」の時間だった。
共に生きている同時代の人間の「生」を写真に焼き付ける。
自己投影ではなく、自身を媒介にして、写真に定着させる。

それが、ボクのやりたい写真のカタチだった。

なぜ他者を撮りたい…という思いを前に
自分が怖じ気づいていたのか、それも合点した。

他者の「生」を受け止めるほど、
自己の足元が安定していなかったからだ。

      ●

今、こうやって身辺を整理しながら
これからの人生を考えると、
やっと自分が目指すべき表現に辿り着けたような気がした。

「死」への漠とした不安に内省するのではなく、
共生し溌剌としている「生」をみつめ、写真に定着することで、
同時代の空気が表現され、共鳴を生む。…そうなのだ。
そんなこともわからないで、何を表現しようとしていたのだろう。

あらためて牛腸茂雄の写真を眺める。
 ……涙が、…出た。
彼(Self)の「生」が、他者(Others)にしっかり定着していた。
 …感動した。…これだと、思った。

何かが、言葉になろうともがいていた


名古屋から戻る機体の中で
漠然とした思いを整理していた。

 「何かが、ふっと、降りてきたのだ」
  それはなんだったのだろう?…と。

那覇空港に降り立ち、
モノレールで自宅へ帰る。

夕方5時の西日が、
車内の人々を照らす。

高校生やOLがそれぞれ
帰途の物思いに耽る中、

転送されてきた会社のメールを
他人事のように眺めている自分。

思えば、ずうっと自分自身のことばかり
写真に定着しようとしてきたなあ…。

      ●

気分を一新すべく
いつもの散髪屋で髪を切る。

10年来のおつきあいである理容師に
身辺の顛末を伝える。

「写真でやっていこうと思うんだ」

「それは思い切ったねえ」

言葉にしながら、目指す未来を
イメージしようとしているボクがいる。

  木村さんの遺影の前で感じた何か…
  それは、何だったのだろう。
  茫漠とした感覚が、言葉になろうともがいている。

      ●

木村さんが遺してくれたもの


11月17日。月曜日。
名古屋へ飛んだ。

雨の降る沖縄から
もみじ輝く秋晴れの名古屋へ。

ラジオCMの録音が
表向きの目的ではあったが、
本当はしっかり報告をしておきたかった。

木村智さん。
ちょうど1年前、
ぼくたちの前からいなくなった。

10年前の沖縄で
広告の面白さを教えてくれた人。
とにかく派手な存在で、
一挙手一投足が愉快、豪快な人。

あのスタートが
この10年を支えてくれた…と言ってもいい。

だから、しっかりと報告しておきたかった。
元カメラマンであった木村さんには。

「これから写真で食っていこうと思います。」

遺影に手を合わせて、しっかりと伝えたかった。

      ●

八事のご自宅へ向かう車中、
そんな思いが巡る中で、
故人に伝えるってどういうことだろう?

…ふと、そんな思いがよぎった。

      ●

木村さんの遺影を前にして、
しっかりと手を合わせ、
思いの丈を伝えたあと、
奥さんや娘さんとお話をさせてもらった。

その場所に木村さんもニコニコ同席していた…ように思う。

2年前に急に犬が飼いたくなったエピソードや、
「木村がしかりつけると犬が大人しくなる」
…といったお話を受けながら、うなづいてる木村さんを感じた時、

ボクが木村さんに伝えたい…と思ったこの気持ちこそ、
写真を通してボクが表現したいことなんじゃないか…と

    何かが、ふっと、降りてきたのだ。

【金子みすず】わたしと小鳥とすずと


わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

【復活】Cinema dub Monks


11月13日。木曜日。
bar SCARABにて
Cinema dub Monksの1年半ぶりの沖縄LIVEがあった。

それはとてもスリリングな夜だった。

大阪から来たという
パーカッションの「ワタンベ」さんが、
いきなり「6/8」をアグレッシブにかき乱した。

映像はU-suke。
スペイン遠征以来のサポートだ。

ガンジーのベースが
地を這う。字のごとく。

猟奇的なフルートの音色。

サウンドエフェクトもパワーを増している。

もはや、音自体が映像化していた。
エキサイティングな体験だ。

ボクがサポートしていた時代
…2003年の夏、ボクらはバルセロナにいた。

そのころのダイホの音楽は
映像の支えによって、
音楽が空間的な広がりを生む
映像詩人なアプローチだった。

いわば音の語り部のようなスタンス。

ダイホの心的イメージを
映像で補うような…と言えばいいだろうか。

しかし、昨日のモンクスは違った。

もはや映像は不要だった。
もちろん、スタイルとしての映像は

 オーディエンスを音楽に集中させる…
 映像のイメージで、音を愉しませる…

意味において、効果的かもしれない。

しかし、昨日のモンクスはとてもアグレッシブで
映像の枠組みをぶち壊すパワーに満ちていた。

   圧巻だった。

ダイホの世界が研ぎ澄まされていた。
…2003年から5年。
一途に自己の音楽イメージを増幅させてきた…匠の技だった。

   やはり、彼はすごかった。

【このパフォーマンスを逃す手はない。】

     ●

11月14日 沖縄県宜野湾市・CACTUS EATRIP

2008年11月14日[金]
open 19:30 / start 20:00
沖縄県宜野湾市・CACTUS EATRIP
入場料 ¥1,500

お問い合わせ CACTUS EATRIP 098-890-6601

     ●

11月15日 沖縄県那覇市・桜坂劇場ホールC

「ASYLUM2008」
Revival-復活- CINEMA dub MONKS

2008年11月15日[土]
open 22:00 / start 22:30
沖縄県・桜坂劇場ホールC
チケット 全席自由
前売¥2,500 / 当日¥3,000
※入場時別途300円の1ドリンクのオーダーが必要。
※アサイラムパスの利用可能。

お問い合わせ・電話予約
桜坂劇場 098-860-9555
http://www.sakura-zaka.com/

※前売チケットは2008年9月27日[土]発売開始。
桜坂劇場窓口・チケットぴあ・ファミリーマート各店
リウボウ8階プレイガイド・コープあぷれ

【littlemore】無念!一次通過ならず!


リトルモア「写真集公募展」

本日、一次通過者112名が発表になった。
11月4日からすでに9日。

そのあいだ、そわそわとアクセスを繰り返していた。

2009年からの新たな動きに
一条の光が注がれたら…
そんな淡い期待も、見事に潰えた。

やはり、もっと真剣に取り組まなければ
中途半端じゃダメなのよ。

何もかもが中途半端なこの10年。

40にもなろうとして、
そんな決意も遅かろう…が、

あらためてシカと足元見つめていこうと
感入った次第。

まずは報告まで。

【NPO】旧暦フォトカレンダー


2009年旧暦フォトカレンダー「なつかしきオキナワ」

オキナワの古い写真を収集・保存する目的ではじまった
NPO法人ちゅらしまフォトミュージアム。

この10月に法人化され、その活動もより具体的になりつつあるが、
法人化されて初のプロダクトがこの「旧暦フォトカレンダー」。

10名の写真家が撮った1940年代から1982年までの
オキナワの原風景が15枚収められている。

新月ではじまり、新月で終わる旧暦にこだわったのも
オキナワならでは。

現在も旧暦の行事が根付いているオキナワ。
漁業や農業に携わる人たちは、月の動きとともに仕事を行う。
自然に根差した暦が、つまりは「旧暦」ということになる。

まわりを海に囲まれた島国だからこそ、
自然の摂理を感じて、生活をしたい。

「温故知新」じゃないけど、
もう少し立ち止まって、足元見ようや。

旧暦と島の原風景が詰まったフォトカレンダー。

オキナワの人たちに、まずは手にして欲しい一品だ。

タイフーンFM「ひとわく」でも紹介いただきました!

【南国ドロップス】関西ツアー その8


その緊迫をひきずったカタチで「ミラクルズ」。

完全にアウェイな心境に。
弱気になってる。
…まずい。

この楽曲で、緊張で張りつめた会場を
グルーヴの波に乗せなければ…。

しかし、レゲエ。
あまり得意じゃなかったのね。
どうも2ビートがうまくグラインドせず。

さらに気負ったトランペットソロ。
…全然イケテナイ。(>_<) アウェイの緊張をさらけ出した感じ。 おやおや。最後の楽曲に。 このまま終わらせてしまっては、
南国ドロップスのイメージも
重たいもので、終わってしまう。

さあ、最後だ!

サンバのリズムで景気よくダンスだ!

「太陽のしずく」を楽しもう!

ホーンフレーズも結構しんどい楽曲だが、
ここは成就させなければ!

おお、バンド全体が大きなグルーヴを生んできた。
会場全体も、待ってました!とヒートUP!

最後の最後にバンド全体がひとつに。

どうにかオーディエンスも楽しめる楽曲に。

      ●

21:50ステージ終了。
正味35分。
…たかが35分。

無為に過ごせば、あっという間の時間。
しかし、この濃縮された35分で
空気の満ち引きをマジマジと体感できた。
ライヴはここまで生モノなのだ!と実感。

これほどの緊張を強いられたライヴは初めてかもしれない。

良くも悪くも
ものすごい体験となった
MINAMI WHEEL 2008。
南国ドロップス関西ツアーは
この時をもって、終了した。

さあ、打ち上げだ!

【南国ドロップス】関西ツアー その7


20時15分キッカリ。
ステージの幕が左右に開き、
オーディエンスが視界に入る。

…おお、こんなにステージが高いのね。

上から見下ろすようにして
Caravanがスタート。

視界の広がりが、
カラダを動かすことを強要する。

見られていることに過剰に反応してしまう。

    堂々と、魅せるのだ。

とにかく、この緊迫した空気に
飲み込まれないよう、自分自身であり続けるために
カラダを動かし続けるのだ。

Caravanに続いて新アレンジのタイフーンレディ。

ファンクのリズムを意識して、
リズムに乗っかるカタチに。
決して前のめりにならないよう…。

新アレンジの緊張が、イイ方向にグルーヴを出してきた。

次はデンキウナギのインスト。
さらなる緊張感。
トロンボーンの音がモニターから返ってこない。
トランペットしか聞こえてないんじゃないか?
…ミストーンは赦されない。

とにかく昨日のライブのイメージを思い出し、
走らないように、しっかりビートを捉えて、音を刻め!

無我夢中で3曲を消化。
バンドの一体感も出てきた。

さて、一息おいてのバラード「祈り」。

この緊張感から、さらに難易度の高いバラード。
ピアノとボーカルで聴かせる。
リズムが予想以上にゆるり。

一音一音がクリアに発信される。
その緊迫感がさらなる緊張を生む。

…んん。重いぞ。
これは、相当重い。

ホーンが盛り上がりを作る…はずが。
フリューゲルを鳴らし切れない。
その音の強弱に、びびりまくる。

一挙にこちらの緊張が会場を満たし、
オーディエンス側も緊迫を強いられる。

最悪の流れ。

完全に飲み込まれた格好。