
3月11日。火曜日。
長い一日。
やっと、バスの旅も終着駅。
Fussenにやって来られた。
ミュンヘンからホントに遠い所まで来てしまったんだ。
そんな感慨があった。
予約しておいたホステルを探す。
Fussenの駅から歩いて20分ほどか。
ホステル発祥の国ドイツだけあって、
施設はとても広く、中身も充実していた。
何しろあのノイシュバンシュタイン城のお膝元。
事前予約をしないと、
泊まれないほど、人気のホステルらしい。
竹野に住まう舞台写真家の地域自治。

3月11日。火曜日。
長い一日。
やっと、バスの旅も終着駅。
Fussenにやって来られた。
ミュンヘンからホントに遠い所まで来てしまったんだ。
そんな感慨があった。
予約しておいたホステルを探す。
Fussenの駅から歩いて20分ほどか。
ホステル発祥の国ドイツだけあって、
施設はとても広く、中身も充実していた。
何しろあのノイシュバンシュタイン城のお膝元。
事前予約をしないと、
泊まれないほど、人気のホステルらしい。
今朝、コピーライターからのメールを開く。
「ハズシの完成度(なんじゃそりゃ)が異様に高い。
日本でフランス映画をとれるのはこいつかも」
なんとも意味深な内容。
しかし、その映像のハズシ加減よりも
楽曲そのものに聞き惚れてしまった。
【RADWIMPS】
聞いたことがない。
どんなバンドだ?
さっそくウィキペディアする。
「カッコイイ弱虫」「見事な意気地なし」「マジすげぇビビり野郎」
そんな造語のセンスも最高。
vocalの野田洋次郎は幼少をアメリカで過ごした帰国子女。
楽曲は詞・曲ともにすべて彼の作。
「誰も端っこで泣かないようにと 君は地球を丸くしたんだろ?」(有心論)
「次の世僕らはどうしよう。生まれ変わって巡り会ってとかはもうめんどいからやめにしよう。
ひとつの命として生まれよう。そうすりゃケンカもしないですむ。どちらかが先に死ぬこともない。
そして同じ友だちを持ち、みんなで祝おうよ誕生日。あえてここでケーキ二つ用意。
ショートとチョコそこは特に意味はない。ハッピーな時は2倍笑い、2倍顔にシワ残すんだい。」
(25コ目の染色体)
その目線に、こちらがドキドキ。
メロディで聴かされると、ググーッと胸に突き刺さった。
素敵なバンドに巡り会った。
今日は巡り合いの日。
「ボクのいた朝と ボクのいない朝は どっか違っててほしい 少しだけでもいいから
ボクが生まれてくる前と ボクが消えたあとと なんか違っててほしい 世界は違っててほしい」
(バグッバイ)
きっとボクは尋ねられたんだろう
生まれる前 どこかの誰かに
「未来と過去 どちらか一つを
見れるようにしてあげるからさ
どっちがいい?」
そしてボクは過去を選んだんだろう
強い人より優しい人に
なれるように なれますようにと
『想い出』って何だか分かるように
続けて誰かさんはボクに言う
「腕も脚も口も耳も眼も
心臓もおっぱいも鼻の穴も
ふたつずつつけてあげるからね
いいでしょう?」
だけどボクはお願いしたんだよ
「口は一つだけでいいです」と
ボクが一人でけんかしないように
一人とだけキスができるように
忘れたい でも忘れない
こんな想いを なんと呼ぶのかい
少し不機嫌な顔のその人は
また仕方なく話しはじめた
「一番大切な心臓はさ
両胸につけてあげるからね
いいでしょう?」
またまたボクはお願いしたんだ
「恐れ入りますがこのボクには
右側の心臓はいりません
わがままばかり言ってすいません」
ボクには大切な人ができて
その子抱きしめる時はじめて
ふたつの鼓動がちゃんと胸の
両側で鳴るのがわかるように
左はボクので右は君の
左は君ので右はボクの
一人じゃどこか欠けてるように
一人でなど生きてかないように
忘れたい でも忘れない
こんな想いをなんと呼ぶのかい
胸が騒がしい でも懐かしい
こんな想いをなんと呼ぶのかい
「そう言えば最後にもう一つだけ
『涙』もオプションでつけようか?
なくても全然支障はないけど
面倒だからってつけない人もいるよ
どうする?」
そしてボクはお願いしたんだよ
強い人より優しい人に
なれるように なれますようにと
『大切』ってなんだか分かるように
「じゃあ ちなみに涙の味だけども
君の好きな味を選んでよ
酸っぱくしたり 塩っぱくしたり
辛くしたり 甘くしたり
どれでも好きなのを選んでよ
どれがいい?」
「望み通り全てが
叶えられているでしょう?
だから涙に暮れる
その顔をちゃんと見せてよ
さぁ誇らしげに見せてよ」
「ほんとにありがとうございました
色々とお手数かけました
最後に一つだけいいですか?
どっかでお会いしたことありますか?」

3月11日。火曜日。
小学生が自宅まで帰る途中なのか、
大量に乗車してきた。
それぞれの年代、
それぞれの話題。
男の子、女の子。
反抗期らしき男の子たちは
後部座席を占拠。
住むエリアで
グループ分けされているのか、
高学年の子が低学年の子と
並んで坐っている。
バスは広大な田園風景を
ゆっくりと走る。
ここは、ドイツとオーストリアの国境付近。
遠景にアルプスの山々がそびえ、
針葉樹の黒い森がふもとに広がる
南ドイツならではの豊饒な地域。
子供たちものびのびと暮らしているに違いない。
テレビやインターネットの
情報社会とは無縁の、
地球リズムの生活を営んでいる。
そんな気がした。
ミヒャエル・エンデの
時間泥棒じゃないが、
彼女たちにしてみれば、
ボクらは「時間貯蓄銀行」の
【灰色の男たち】なんだと、思う。

3月11日。火曜日。
リンダーホーフ城を後にする。
たった2時間。
こんな山奥まで来て、
たった2時間の滞在。
ああ、ルートヴィヒの馬車が通る。
エリザベートの拝謁が拒絶される。
歯痛を押さえながら、窓外を覗くルートヴィヒ。
ヴァーグナーの旋律が流れる。
…自己陶酔。
ああ、現実逃避。
●
名残惜しくも
リンダーホーフ城を後にし、
Oberammergauの駅へ。
Fussenまでのバスを待つ。
13:44にようやくバスが到着。
ここからFussenまで、
乗り継ぎを含めて3時間。
街の人々がふだん使っている
普通の乗り合いバス。
小学生からお年寄りまで、
入れ替わり立ち替わりの
バスの旅。
そんな触れあいも楽しい。
小学生が、
異星人を眺めるような面持ちで
ボクらを見ていた。

3月11日。火曜日。
贅を尽くした城の内部を堪能する。
いまだに自分がなぜ、ここにいるのか、
把握できていない。
あのルートヴィヒの城内に、
…ヴィスコンティの映画の舞台に、
…ヘルムート・バーガーが演じた現場に、
…自分が今、足を載せている。
城は思った以上に狭かった。
豪華絢爛で、過剰な装飾に
耽美主義なルートヴィヒの人生が凝縮されていた。
昇降式の食卓も、そこに在った。
なぜここまでデカダンスに傾倒したのか。
究極のナルシストであったことには違いない。
他者を受け入れない、自己溺愛な性格は、
ある意味、このボクにも当てはまる。
禁断の愛や、禁忌な行為に惹かれるあたりも
三島由紀夫文学と共通するところだ。
なぜだろう。
ヴィスコンティの「ベニスに死す」を
敬愛して止まないのは、
まさに禁忌の恋とデカダンスに溢れているから。
追いつめられ、破綻するしかない状況での
美の陶酔が、何とも魅力的だから…なのか。
この耽溺が、自己破滅が、
ボクを虜にする。

3月11日。曇り時々晴れ。
出発から4時間かけて、
憧れのルートヴィヒ2世の城へ到着。
入場料ふたりで12euro。
入場はすべてガイドツアー形式。
城内の撮影は厳禁。
30名ほどがセットになって
英語かドイツ語のガイドがつく。
ツアーはたった30分。
しかも冬季のため
庭園の入場制限があり、
楽しみにしていた「ヴィーナスの洞窟」は
見学不可となっていた。
ルキノ・ヴィスコンティの映画
「ルートヴィヒ2世~神々の黄昏~」で
凍てつく真冬の夜に、ルートヴィヒがスワンの舟に佇むシーンが印象的な
あの「ヴィーナスの洞窟」が見られない…だなんて。
頭の中ではすでにヴァーグナーの
「トリスタンとイゾルデ愛のテーマ」が流れ、
耽美とデカダンに陶酔していた。

3月11日。朝7時。
MUNICH中央駅から
OBERAMMERGAU経由で
FUSSENへ。
07:32のOberammergau行きに乗車。
約2時間、アルプス方面へ南下。
目指すはルートヴィヒ2世の建てた城、
リンダーホーフ城とノイシュヴァンシュタイン城だ。
リンダーホーフ城は、
Oberammergauからさらにバスで20分ほどのところ。
OberammergauからFussenまではバスで向かう。
バスと列車の時刻表を照らし合わせて、
旅程の計画を綿密に行う。
しかし、バイエルンチケットが使えなかった。
朝9時からの乗車に有効で、
朝7時の列車は、正規の料金に。
ふたりで32.2euro。
約5150円。
さらにリンダーホーフ城までのバスも
正規の料金がかかってしまった。
ふたりで12.2euro。
約1950円。
さらにさらにOberammergauから
Fussenまでのバスの料金も。
ふたりで16euro。
約2560円。
バイエルンチケットなら27euroで
すべて賄えた。たった4320円。
ツアーで廻ったほうが、安かった…。
しかし、見知らぬ土地を
バスと列車を乗り継いで移動する行為は
とてもエキサイティング。
公共機関ならではの出会いもある。

3月10日。月曜日。
オリンピック公園だから、
プールも立派だろう…と
水着をしっかり持参。
3.8ユーロで入れる…なら、
泳がないワケにいかないだろう。
「イン・ザ・プール」の田辺誠一じゃないけど、
ちょっとしたプール依存症。
ひさびさに水に浸かって
カラダをゆっくり解したい…
そんな気持ちになると、居ても立っても居られない。
「イン・ザ・プール」では
田辺は水に浸かりたくなると、トイレに駆け込み、
シンクに水を溜めて、ひたすら手を浸していたけど、
風邪をひいて3週間はご無沙汰状態だったこともあり、
初めてのヨーロッパプール…ということもあり、
浮き足だってプールサイドへ。
オリンピックプールだから、水深も2.8m。
千駄ヶ谷の東京体育館より深い。
天井までは100mぐらいあるんじゃないか…と
思えるほどの吹き抜け構造。
泳ぐ人もまばら、陽射しも気持ちいい。
ゆったりとした時間の中で、
優雅にドイツプールを楽しむ。
外気はおそらく10度。
ひさびさの快晴で、オジイも嬉しかったのだろう。
はだかで外へ。
寒くないのか?…と思ったら
すでに先客あり。オバアも日光浴。

3月10日。
月曜日。快晴。
ナムチはまだ回復せず。
やはり気苦労をかけてしまったか。
こちらはすっかり元気になったので、
天気もいいし、散歩に行こう…と外へ出る。
ミュンヘンオリンピックの選手村だけあって
環境は最高。
緑も多く、公園も広い。
この落書きだらけの低層アパートは
そのデザイン性が好まれて、
入居2年待ちの大人気状態。
メゾネットタイプなのと、
各戸にイラストが施されていて、
個性的なところが若者に支持されているよう。
…しかし1972年って35年前なんだけど。