【Tom Jobim】コルコヴァード


Corcovado / Tom Jobim

部屋の片隅には ギター
恋が生まれ 歌が流れる

恋人を幸せにする歌が
時は静かに流れ 想いと夢を誘う

窓からはコルコヴァード山の
キリスト像が 見える

こんな幸せが 続けばいいのに

君がそばにいる日々が
愛の炎が消えてしまうまで

世界が信じられず 孤独だったボク

でも君に出会い
幸福の意味を知った

     ●

05月30日。5月の終わりの日曜日。
薄曇り、肌寒い陽気。
一仕事を終えたような疲労感の中、
ボサノヴァに浸る。

楽曲を聴きながら、
コパカバーナのビーチに想いを馳せる。

 風がすり抜ける海岸沿いのアパートで、
 夜毎あつまったカリオカのミュージシャンたちが
 階下の眠りを妨げぬよう、小声で歌うサンバ・カンサォン。

それが、ボサノヴァのはじまり。

 波の音を遠くに聞きながら
 バチートに工夫をこらし、
 今を生きる…その想いを音に乗せる。

部屋の窓からはコルコヴァードのキリスト像。

 おそらく陽は西に傾き、
 アンバーな光が光陰の情景を、
 部屋に送り込んでいるのだろう。

 片隅にあるギターが照らし出され、
 サウダーヂあふれる想いを蘇らせる。

 ソファには君のぬくもり。
 今しがたまで居た君への想い。

 ああ、世界が信じられず 孤独だったあの日。

 でも君に出会い、
 ボクは「今を生きる」意味を知った。

      ●

ボサノヴァのような、写真を撮ろうと思う。

【Vinicius de Moraes】想いあふれて


Chega de Saudade / Vinicius de Moraes & Tom Jobim

悲しみさん 彼に言ってやってよ
あなたなしでは ダメなんだと
お願いだから 戻ってきてと
彼なしでは 生きていけないわ

思い出は もうたくさん
彼なしでは 安らぎはないの
終わりがないのは 私の心に巣食う
この哀しみと 憂鬱だけ

 だけどもし 彼が戻ってきたなら
 こんな素敵なことはないわ
 海に泳ぐ魚の数より 
 もっとたくさんの キスをしてあげる
 この両腕にしっかりと
 何万回も 彼を抱きしめるの
 何もいわずぬくもりに包まれるの
 飽きるほどキスの雨を降らせるの
 もう決して独りにはしないわ

      ●

ボサノヴァとは心のあり方
A Bossa Nova e um Estado de Esprito

【Vinicius de Moraes】あなたと私


Voce e Eu / Vinicius de Moraes & Carlos Lyla

どんなに頼まれても 行かない

陰口を叩かれても 悪く言われても

月夜のパーティに 誘われても

私は行かない 行きたくないの

微笑んでも 泣いてみせてもムダ

あなたたちが 何と思おうと平気

人生に疲れた女と 噂されてもいい

嫌な友だちを持ったと諦めて

あなたと私 他に興味はない

【David Byrne】Psychedelic Afternoon


Ryuichi Sakamoto/Psychedelic afternoon

Grandpa swore he’d never cut his hair-in ’67
Going on a trip to Grandpa’s farm — the hippie commune
He don’t even watch TV at all — so weird
But my grandpa’s cool with me,

Mama says that granpa is naive –from too much trippin’
Grandpa even sang his songs for free–at the demonstration
All the Punks and Yuppie Scum they laugh–at him

Psychedelic Afternoon
Let’s all sing a hippie tune
I will sing my song for you
That grandpa taught to me.

We saw a shooting star from on a hill–across the heavens
The real reality is just unreal–in my opinion
Laughing Dancing Joking Talking all–the time
And my grandpa’s cool with me

丘の上から、満天の星空に流れ星を見たよね
本当にリアルなものってリアルには見えない
まあ、僕の意見だけど
いつも笑って踊って冗談を言い、話し出すと止まらなかったけど
僕にとっては、とてもクールなお祖父さんだったんだ

【川崎太一朗】HIT THE ROAD


川崎太一朗 on myspace

5月13日木曜日。
横浜関内モーションブルーヨコハマで行われたLIVE。

太一朗さんとは、
以前Icchie Special Session BandのLIVEで面識はあったのだけど、
今回の1st Full Album「HIT THE ROAD」リリースパーティの話は伺っておらず、
ビル清掃のゴミ箱から出てきたチラシで知ったのが月曜日。

あわてたボクは、すぐさまメールを出して撮影したい旨を伝え、
太一朗さんに快諾いただいた経緯となる。

ISSBのLIVEで初めて触れた彼の音色は、
端正な容姿とは裏腹のエモーショナルでファンキーで、
それでいて哀愁を引きずったリリカルさを併せ持った
理想的なトランペットで、ボクは完全に惚れ込んでしまったのだけれど、

今回あらためて彼のリーダーLIVEでその音に触れ、
そのテクニックに裏打ちされた感性の豊かさに、涙が出た。

写真もそうだけど、音楽も「降りて」くるもの…だな、と思う。

いかにオープンマインドで周りの音を「聴き」、
いかに素直に自分の音で「感応」するか…。

太一朗さんのトランペットは
とても繊細にその「感応」を体現していた。

なにより音がいい。管が鳴っている。当たり前だけど。

今回のアルバムのプロデューサーは
SOIL&PIMP SESSIONのトランぺッタータブゾンビさんなんだけど、

そのタフゾンビさんもゲスト参加して、2TPで激しくバトルを繰り広げたあたりは、
文字通りビンビンに空気が張って、どうしようかと思ったくらい熱いものがあった。

通常、自分のリーダー作発表…なんて時は、
花形トランペットを目立たせるべく、
同じ楽器をメンバーに加えたりしないものだと思うけど、

太一朗さんは堂々と2管で勝負して、
見事に自分の音を体現していた。

これもつまりは「聴く耳を持て」ってことじゃないか?

     ●

撮影自体は会場の制約もあり、
はじめの5分しかステージ周りで撮影できなかったけれど、
いや、その5分間でボクのボルテージも最高潮になって
バシバシ感応し、ビンビンになって、体現しちゃった。

いや、でも最後までイキたかった…のが本音ではあるけどね。

素晴らしい時間を感謝。

ぜひとも次回も撮影したいと思う。

【坂本龍一】二人の果て


【YouTube】坂本龍一/二人の果て

舗道にたたずむ ひとりの女は
男をみつめる 言葉もかわさず
乱れた髪に ただ手をさしのべる

つかのま流れる 危険な行方は
炎のように 傷つく鳥のように
いつも いつも 似てる
ふたり何処へ ふたり何処へ 行くの

カモメが舞う空 入り江の黄昏
昔と何も変わらない 風景
苦いコーヒーと 古ぼけたジュークボックス

コインをひとつ 持ってたらちょうだい
きっとこの歌は 幸せを呼ぶから
いつも いつも こうして
聴いているの ここに すわって

      (lyrics by 大貫妙子)

【Caetano Veloso】サンバがサンバであった時から


Desde Que O Samba E Samba / Caetano Veloso

A tristeza é senhora
ア トリステーザ エー セニョーラ
悲しみは女王

Desde que o samba é samba é assim
デスヂ キ ウ サンバ エー サンバ エー アッシン
サンバがサンバであったときから

A lágrima clara sobre a pele escura
ア ラグリマ クラーラ ソブリ ア ペリ エスクーラ
黒い肌に流れる澄んだ涙

À noite a chuva que cai lá fora
ア ノイチス ア シューヴァ キ カイ ラー フォーラ
雨が降っている夜がある

Solidão apavora
ソリダォン アパボーラ
孤独が驚かせる

Tudo demorando em ser tão ruim
トゥード デモランド イン セール タォン フーイン
すべてのことがあんなにダメなまま

Mas alguma coisa acontece no quando agora em mim
マス アゥグマ コイザ アコンテッシ ノ クアンド アゴーラ イン ミン
けれどなにかが私の中で起こる

Cantando eu mando a tristeza embora
カンタンド エウ マンド ア トリステーザ インボーラ
私は悲しみにが消えてしまうようにと歌う

O samba ainda vai nascer
ウ サンバ アインダ ヴァイ ナセール
サンバはまだこれからも生まれる

O samba ainda não chegou
ウ サンバ アインダ ナォン シェゴウ
サンバはまだ終わってない

O samba não vai morrer
ウ サンバ ナォン ヴァイ モヘール
サンバは死なない

Veja, o dia ainda não raiou
ヴェージャ、ウ ヂーア アインダ ナォン ハイオウ
見て、日はまだ昇っていない

O samba é pai do prazer
ウ サンバ エー パイ ド プラゼール
サンバは喜びの大地

O samba é filho da dor
ウ サンバ エー フィーリョ ダ ドール
サンバは痛みの息子

O grande poder transformador
ウ グランヂ ポデール トランスフォルマドール
何かを変える偉大な力

    ●

 サンバは喜びの大地
 サンバは痛みの子
 何かを変える偉大な力

昨日の大森克己さんのトークイベント
本人が感嘆しきりだった、カエターノの詩。

「何かを変える偉大な力」

これをサラっと歌っちゃうところがイイっ…と。

【タテタカコ】卑怯者


手にとるように感じる心
やさしさと言うのなら
私はちっともあなたの気持ちを
予想すら出来ないし

あなたの助けを求める悲鳴
耳をふさいでしまう
あなたが暗いトコで手を求めても
私はふりはらうし

引っぱる力はありません
引きのばす力もないです
やさしいフリをよそおうことなら
できるけど長くはつづきませぬ

弱い心をくるんであげる
やさしさがあるのなら
私はきっともたれかかりきり
いつまでたっても芋虫のまま

あなたの心情測ってみても
何センチかわからなくて
私の屁理屈並べてみても
どれもまずくて食べられない

肩がわりする力はありません
導いてゆく力もないです
身代わりになる勇気もありません
共倒れする覚悟もないです

ただ自分が倒れないように
ただ自分が立って歩くのを
ただ自分が轢かれないように
ただ自分になってゆくのを

【YouTube】タテタカコ/卑怯者

      ●

4月21日。水曜日。
「なんだよ、この天気」
「昨日は雨で、今日は腫れ、でもって明日は雨」
「気温も14度だったり、23度だったり」
「始発の時間はまだ寒いからコートが手放せないんだよ」
「で、この天気だろ。またコートが荷物じゃねえかよ」
ビル清掃の所長の話。

気分屋の女の子とつきあってるみたいな、そんな毎日。
今日の様子で明日が読めない。

「ねえ、明日は果たして、どんな気持ちなの?」

推し量るしか、術なし。
これも恋みたいで、よろしいか。

      ●

ボクは心に常に音楽が鳴ってないと、生きられないようだ。

Jobimは今でも心を満たしてくれる。
その旋律に身悶えしながら、黎明の空を見上げたりしてる。

でも最近は、この人の歌声が心に響いている。

タテタカコ。

まさに「祈る」音楽。
よけいな説明はいらない。

ざらつく心を直接触るような、そんな剥き出しな感覚。

それでいて昇天しそうな、高音の無垢な音。

静かに降りてくる。
そしてじんわりと心の中を満たしてくれる。

タテタカコの音楽の充足感は
いったいどこからくるのだろう。

サウダーヂ…とは無縁の、
剥き出しでいて、無垢で、瑕瑾も曇りもない、まんまの音。

どろっと、している。
受け取っても、どうしていいやら。
でもそのざらざらした感覚に
いつの間にか心解き放たれる。

…やばい。
しばらく鳴り響いていて、
ボクの心を離さないかも。

【Villa-Lobos】Bachianas Brasileiras


4月18日。日曜日。
砂町銀座へ一週間の食材を買い出し。
天気も良く、陽気でもあり、商店街はにぎやか。

昼飯にネパール人が経営するカレー屋へ。

ワンコインの500円で本場のカレーが食べられるとあって、
お昼時は家族連れで大にぎわい。

ネパール人がつたない日本語でひとりひとりに
オーダーを聞いて回っている。

カレーの種類に【ナンorライス】をセレクトするメニュー設定なので、
客のオーダーに対していちいちネパール人が
「ナンですか?」とオーダーの確認をするのだけど、

そのイントネーションが、「何ですか?」と聞き返しているようで
端で聞いていて、ひとりツボに入ってしまった。

「チキンカレーで」…ネパール人「何ですか?」
「だからチキンカレーで」…ネパール人「いや、何ですか?」
「あ、日本語わからない?chickin-curry,please」…ネパール人「で、何ですか?」

…馬鹿だね。

      ●

ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」である。
マイケル・ティルソン・トーマス指揮「ブラジル風バッハ選集」
なるものを江東区の図書館から借りてくる。

ネットで調べてみたら
2009年8月にヴィラ=ロボス没後50周年企画として
東京フィルによる「ブラジル風バッハ全曲演奏会」が行われたらしく

こうやっていつも後追いに旬を逃している感があって、
なんだか非常にくやしいのだけれど、

CDで初めて耳にする「ブラジル風バッハ」はとても魅力に溢れていて
5番のアリアだけでなく、4番のプレリュード9番のフーガなど、
19世紀末のマーラーやラヴェルをブラジル風に転調させたようなつくりで、堪能した。

特に5番のアリアの歌詞が、まさにブラジル的サウダーヂに富んでいて
Jobimが編んだ詩のようで、ブラジル恐るべし…と感嘆した次第。

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夕暮れ、美しく夢見る空間に
透き通ったバラ色の雲がゆったりと浮く!
無限の中に月が優しく夕暮れを飾る
夢見がちに綺麗な化粧をする
情の深い乙女のように
美しくなりたいと心から希いながら
空と大地へありとあらゆる自然が叫ぶ!
その哀しい愁訴に鳥たちの群れも黙り
海はその富のすべてを映す
優しい月の光はいま目醒めさす
笑いそして泣く、胸かきむしる郷愁を
夕暮れ、美しく夢見る空間に
透き通ったバラ色の雲がゆったりと浮く!

       (Aria text:Ruth V. Correa)