【忌野清志郎】ヒッピーに捧ぐ


【RCサクセション】ヒッピーに捧ぐ

お別れは 突然やってきて
すぐに 済んでしまった

いつものような なにげない朝は
知らん顔して ボクを起こした

電車は動き出した 豚どもを乗せて ボクを乗せて

次の駅で ボクは降りてしまった 
30分泣いた 

涙をふいて 電車に乗り込んだ
遅刻して ホールについた

ボクらは 歌い出した
君に聞こえるように 声を張り上げて

空を引き裂いて 君がやって来て
ボクらを救ってくれると 言った

検屍官と 市役所は 君が
死んだなんて いうのさ

明日 また 楽屋で会おう
新しいギターを 見せてあげる

【忌野清志郎】トランジスタラジオ


【RCサクセション】トランジスタラジオ

Woo 授業をサボッて
陽のあたる場所に いたんだよ
寝ころんでたのさ 屋上で
たばこのけむり とても青くて

内ポケットにいつも トランジスタ・ラジオ
彼女教科書ひろげてるとき ホットなナンバー
空にとけてった
ああ こんな気持ち
うまく言えたことがない ない

ベイ・エリアから リバプールから
このアンテナが キャッチしたナンバー
彼女教科書ひろげてるとき 
ホットなメッセージ 空にとけてった

授業中 あくびしてたら
口がでっかく なっちまった
居眠りばかり してたら もう
目がちいさく なっちまった
ああ こんな気持ち
うまく言えたことがない ない

Ah 君の知らないメロディー
聞いたことのない ヒット曲
Ah 君の知らないメロディー
聞いたことのない ヒット曲

      ●

昨日はどれだけの人が
清志郎を偲んで このナンバーを口ずさんだことだろう。
ボクもしばらくyoutubeを漁っては 涙をこぼしていた。

映像を見れば見るほど その存在が大きくて
喪ったことの哀しさに 心底顫えてしまう。

「トランジスタラジオ」の歌詞そのままに
自分の学生時代を記憶している輩も多いことだろう。

ボクも自分の高校時代の記憶が、この歌詞にすり替わっている。

 授業をサボッて 陽のあたる場所にいたんだよ
 寝ころんでたのさ 屋上で
 たばこのけむり とても青くて
 
 彼女教科書ひろげてるとき ホットなナンバー
 空にとけてった ああ こんな気持ち
 うまく言えたことがない ない ない ない

まさに まさに。

下手に突っ張って 音楽に没頭して
気になる「あの娘」の 気を引こうと躍起になって
そんでもって 目の前では 口ごもっちゃって
デートのひとつも うまく誘えなくて
安酒飲んでは 男同士 キズを舐め合って

そんな青春そのものが この歌にはチルドパックされている。

80年代のサウンドと映像を見つめながら
あのころが 清志郎の死とともに 手の届かないところへ
ずんずん 遠ざかっていくようで 心臓の奥がきゅうっと 締め付けられた。

       歌のチカラだ。 清志郎のパワーだ。

いくつになっても この曲が あの頃の弾む気持ちに 引き戻してくれる。
今は哀しくて やり切れないけど これから先も 深く刻まれていくんだ。

       歌のすごさを思い知らされたよ。
           
   

【忌野清志郎】スローバラード


昨日は クルマの中で寝た
あの娘と 手をつないで
市営グランドの 駐車場oh
ふたりで 毛布にくるまって

カーラジオから スローバラード
夜露が 窓をつつんで
悪い予感の かけらもないさ
あの娘の ねごとを聞いたよ
ほんとさ たしかに聞いたんだ

カーラジオから スローバラード
夜露が 窓をつつんで
悪い予感の かけらもないさ
ぼくら 夢を見たのさ
とっても よく似た夢を

【RCサクセション】スローバラード

      ●

忌野清志郎が亡くなった。
信じられない。

高校時代、彼の歌を知った。
すごい日本人がいる…心底そう思った。

教科書や学校の授業では測れないコトがある
…そんな事実を知ったのも、RCサクセションからだ。

仲間と連んでカラオケへ行けば、
「スローバラード」「雨上がりの夜空に」「トランジスタラジオ」は
必ずと言っていいほど、唄った。

安い酒で悪酔いしては 歌詞の「あの娘」と
現実の「あの娘」を重ねて ドロドロになったりした。

「忌まわしい」なんて名前からして衝撃だったが、
その派手な存在が、衝撃だった。

清志郎がいたから、清志郎が先陣切って走ってたから、
ボクラは堂々と悪さもやったし、派手な衣装も着たりできた。

清志郎みたいな人間がいたから、大人や社会に対する思いも
「反発」だけでなく「憧れ」を伴うことができた。

すべての原点みたいな人だった。

それこそ、ボクにとっての教科書みたいな存在だった。

ひとつの指針として、そこにあったから、「安心」して生きられた。
そんな「忌まわしい清志郎」がいなくなった。
これから先、ボクラが清志郎の意志を継いでいかなければならない。

大変な重荷だ。

だけれど、その振り幅を示していかなければ、
後継の「くずども」が救われない。
こぢんまり 収まっちゃ、ダメなんだ…って 見せてあげなきゃ
「生きる」の ツラいだろ。

清志郎、おつかれさま。
ホントに ボクは あなたの存在に救われました。
ご冥福をお祈りいたします。

合掌。

【上田現】レインマンのお話


昔々のお話です。
ある男のアタマの上に丁度小羊ぐらいの大きさの雨雲がありました。
逃げれば追いかけてくるし、隠れてもずっと待っています。
結局いつもどおり 傘を持って今日もおでかけです。

仕事場をびしょぬれにして首になってしまいました。

泣きたくなって空を見上げたら
ますます雨足は強くなる始末。

「いっそ雨の降らない国に行けば喜んでもらえるかもしれないな?」

この男のアイディアは見事大当たりとなりました。

「ウチの村の畑にぜひ雨を」
「オイラの馬たちに水をやっておくれ」
毎日忙しくあちらこちらと駆け回って
楽しく村人たちと踊り明かしたりしました。

でも雲は日に日に小さくなっていき
とうとう「助けて」と叫びました。

あんなにめいわくしていたのに それを
みていたらかわいそうになってきて…。

男は村のみんなにだまって街に帰ることにしました。

そして今日もアタマの上に雨雲。
でもなぜか、もう気分まで濡れることはありませんでした。

      ●

織田作之助の「競馬」を読む。

「デカダンスというと、頽廃のことだと、ひとは思っているらしいが、
 ・・・デカダンスというのは、あらゆる未熟な思想からの自由という意味だ。」

実際、1913年から1947年の33年間の人生で、
そのほとんどを太平洋戦争の暗澹たる世相の内に暮らし、
それでも自分のスタンスを忘れず、検閲にもへこたれず、
だから戦後はいち早く流行作家にもなり、
それが元で喀血し、結核で夭逝するのだけど、

なんとも読後感が潔い。

22歳で知り合った妻「一枝」をベースに仕立てたであろう
「一代」と「寺田」の激しい恋物語。

カフェの女給「一代」の美貌に一目惚れした教師「寺田」は
一途に「一代」の元へ足繁く通い、彼女へ実直なプロポーズをする。

仏具屋の息子である「寺田」は「一代」との結婚に
両親から勘当を受け、なぜか職も失い、貯えだけが頼りとなるが、

まもなく「一代」が胸を患い、それが厄介なことに「乳ガン」だと知り、
乳房を削除するも直ぐさま転移し「子宮ガン」となり、余命宣告を受ける。

それでも「寺田」は「一代」に奇蹟を願い、妙薬を買い、壺を買い、仏を買い、
お百度参りを繰り返し、モルヒネを買い貯め、彼女の痛みを和らげようと躍起になる。

しかし「一代」はどんどん蝕まれ、最期は皮一枚となって、逝ってしまう。

…その状況描写が淡々としているところが、超越している。

病んだ妻「一代」の元に一通のハガキが送られてくる。
「明日午前11時、淀競馬場一等館入口、去年と同じ場所で待ってる。来い」
用件だけがぞんざいに筆で書かれたハガキを見て、激しい嫉妬に襲われる「寺田」。

「一代」の死後、美術雑誌の編集を2年勤めた「寺田」だったが、
ある日作家が原稿料と引き換えに原稿を淀競馬場まで取りに来てくれ…との申し出が。
2年前の嫉妬が再燃、「一代」の男がいるはずだと血走った目で競馬場へ訪れる。

不器用な「寺田」は、ビキナーズラックの興奮を受け、途端競馬にのめり込み、
印刷料や原稿料、果ては家財もつぎ込み、淀競馬場に入り浸る毎日。

最終日、終いには「一代」の形見の着物を質に入れ、
「一代」との想いと共にやって来た…とばかり執拗に「1」の単勝買いを繰り返す。

すると同じように「1」の単勝買いをするヤサグレ男が。
こいつこそ「一代」の男ではないか…そんな嫉妬がますます「1」の単勝買いを助長する。

淀では決着がつかず、九州は小倉へ舞台を移し、そこでも「1」の単勝買いをくりかえす。
同じように「1」の単勝買いをしていた「インケツの松」も小倉に来て居て、意気投合する。

話を聞けば「一代」のコトをしっかり存じ上げており、
「競馬好きな女で、あれだけのカラダを持った女はいない」とのたもうた。

「寺田」は真っ青になり、翌日の競馬場では運も見放したのか「1」も来ない。

ついには最後のレースで有り金すべてを注ぎ込んで「1」狙い。
しかし願いの「1」馬は出だしで2馬身遅れ、すでに勝機なし。

絶望の叫びを上げたが、後ろで「インケツの松」が「いや、あの馬は、追込みだ」と遠くを睨んでいる。
第4コーナーであっという間に競り上がり、直線でアタマ一つ抜け出した。

そのまま200メートル逃げ切り、万歳!と抱き合って「寺田」は涙をボロボロ流した。
嫉妬も恨みもすべて流して「インケツの松」にしがみついている。

      ●

現在もアル意味、デカダンス。
そんな世の中でもベースはやはりハートだったり…する。

レインマンのお話も、織田作の「競馬」も、
等身大な感情が心持ちいい。

5月末に写真展を企画中。
心に残る写真をお見せしたい。

【上田現】Happy Birthday


今日は このへんでいいですかね
また今度 会えたらいいですよね
永く 留守にすることもあるでしょうが たずねてみてね
バオバブの木の下で暮らすと言って
困らせたり もうしませんから

家庭なんてと 思い切り馬鹿にしましたが
ほんとは ぬくもりに飢えてたりもして
まあそういった ウソが噴き出して
とても痛いよ 自業自得かな

悩めば 悩むほど 絡めば 絡むほど
歌を 唄えば 歌を 唄えば

お金のためだって 唄いますよ
傷つけながらも 平気で唄いますよ
ボクは 平気になるのさ
機械のように 草木のように
それでもしんどけりゃ 繁華街の真ん中で
ケーキを切ろうよ ケーキを切ろうよ

今日は この辺でいいですかね
また今度 お会い出来たら いいですよね
永く留守にすることも あるでしょうが
訪ねてみてね
今日も何処かで 誰かが叫んだ
Happy Birthday To You
Happy Birthday To You

      ●

自分の世界観を 研ぎ澄ます作業を
写真と対峙することで 進めるようになって

自分の中でゆずれないものは なんだろう
…って考えるようになった

【上田現】の世界は
まさに そこに コミットする

それは 幼い時のトラウマだったり
それは 男と女のイロコイザタだったり

でも それは すべて 
自分の「生きる」から発せられたもので

結局は そこに帰着するんだって
    あたりまえなんだけど

公然わいせつ とか
豚インフルエンザ とか

日々めまぐるしく 世間は眼の色を 変えるけど

「生きる」原動力って
もっと シンプル

ひとと対峙して 気持ちを「ゆらし」て
「みんなセーフ!」って

「生きる」を ほめたたえられれば それでいい

【上田現】森の掟


薄い水の色 空の色
こもる霧の奥の木々の色
影がのびて かすかにゆれた
日暮れになれば さらにわかるだろう
何もかも淡く それでいて確かなもの

森は一つの意志を持つ
それはまだ見知らぬ 森の掟さ

遊ぼう ボクと遊ぼう

ボクは敢えてその深みへと分け入ろう
森はボクをこらしめるだろうか まあ命までは
森をのぞく者はまた森にのぞかれ
投影された自分のすがたはみすぼらしいね

森は何も語らず 何も示さない
ただその勇姿を おしげもなくさらすだけ
なつかしいような こわいような風の中で
更に奥へ 更に奥へと入っていこう

遊ぼう ボクと遊ぼうよ

ボクは別に 何かをさがす者ではありません
ましてや決して 何かおしえを乞う者でもない
ただただ とぼとぼと歩き続け
この手で 森の掟にふれるまで

遊ぼう ボクと遊ぼうよ

【上田現】ラルゴ


 十秒後の世界
 そんなことさえ ボクは知らない
 二メートル後ろの自転車にも慌てる

 風はことわりもなく
 君のカラダから体温を盗んで
 また彼方へと消えて行く
 全てを置き去りにして

 少し残酷で、優しい所
 残されたボクラの世界は
 何処か揺らいで見えたんだけど
 きっと「ゆれた」のはボクのほうさ

 もしも、この世界が幻で
 夢だったと科学者が証明しても
 そいつを蹴飛ばして君を抱きしめる

 誰かの悪戯さ…

 ボクがね、知ってるコトはこれだけさ、不思議なんだけど
 喜びも悲しみも たった一つの場所からやって来た

 風を売り暮らす人の声がどこかで聞こえる
 10ルピー払ってボクは風を待つ
 だましてもいいぜ ずっと待ってる

 ラルゴ ラルゴ ボクの知らない
 ラルゴ ラルゴ 風の歌を
 
 ずっとずっと ずっとずっと
 ボクは待ってるんだよ

 ラルゴ ラルゴ ボクの知らない
 ラルゴ ラルゴ 風の歌を
 
 ずっとずっと ずっとずっと
 ボクはずっと待ってるんだよ

 待ってるんだよ

      ●

ラルゴ【Largo】…幅広くゆるやかに。

ゆるやかに、風を待つ。
ラルゴ ラルゴ 風の歌を。
ずっとずっと ずっとずっと
ボクは待ってるんだよ。

たとえ10秒後の世界でも、
ボクラは待つしかないんだ。

確信なんて、どこにもない。
あるのは、「想い」だけさ。

喜びも悲しみも たった一つの場所から
やってくるんだっ。
…そう、自分自身さ。

      ●

その世界観は、FISHMANSの佐藤伸治に通じる。
上田現も「真のリアル」を追い求めた…んだと思う。

【上田現】ラルゴ

【上田現】1億年後のラブソング


 1億年後のラブソングを歌うぜ
 その頃はボクはただの石ころになってて
 もう すでに上も下も
 わからない程になっているのだけど

 想いばかり強くて 川原でプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて ますます固くなってゆく

 1万メートルの海の底で

 第三の月が昇っていた頃までは
 なんとなく 少し覚えているのに

 君の顔が思い出せず
 名前を呼ぼうと思ったんだけど

 想いばかり強くて やはりプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて 今は意味さえ消えていく

 深く青い青い 海の底 やさしい流れにも気づかず
 1億年後のラブソング
 ひそかに ひそかに こだまする

      ●

上田現のトリビュートアルバムを買う。

それぞれの楽曲の世界観に、「ゆれる」。

この「1億年後のラブソング」は
上田現のその想いの深さがカタチになっている気がして
一瞬にして共振した。

 その頃ボクはただの石ころになってて
 もうすでに上も下も わからない程になってるのだけど

この一節はシンプルで、そしてリアルだ。

情感だけが1億年に亘って浮遊し、
せつなさの感覚だけが残滓し…今は意味さえ消えていく。

 想いばかり強くて 川原でプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて ますます固くなってゆく

河川敷に散らばる石ころひとつひとつが
1億年前の「せつない想い」でプルプル震えているようで、
人の想いの深さが、こちらに立ちのぼってくる。

「人の想い」…行き場を亡くした「せつない想い」が
もがきながら、それでも這い上がってくる。

 君の顔が思い出せず 名前を呼ぼうと思ったんだけど

形骸化した感情がプルプル震える様は、
ボクには、ものすごくリアルで、
カラコロカラコロ…渇いた音を立てて、共振したんだ。

【上田現】ハイヌミカゼ


あなたに見えますか?  私の姿
あなたに聞こえますか? 私の声

地図に隠された 道をたどり
ここまで来てよ そこにいるから

どんなに離れても 遠くにいても
きっとわかるから きっと会えるから

今日は舞踏会の日。
まるで果てを知らない この大地の上で
三日三晩続く

あなたに私が見えるのなら
あなたにこの音が聞こえるのなら

私と踊ってよ 夕日が壊れるまで
私と踊ってよ あの森が溶けるまで
私にふれてよ ねえ いつまでも

喜びも 悲しみも もう動かないものも
美しきものも 醜きもの
思い出せない どうしても思い出せない人
踊ってよ 踊ってよ
地図はどこにありましたか?
きっと来てよ きっと来てよ
今、灯をともすよ

私と踊ってよ あの砂が燃え尽きるまで
私にふれてよ ねえ いつまでも

私と踊ってよ ねえ いつまでも

【元ちとせ】ハイヌミカゼ

      ●

創造〈クリエイティブ〉って、恋心に近い。
いつまでたっても手に取ることが出来ない。

その切なさが、まさに恋心。

でも、そんな気持ちも
こうやって写真と対峙することで、
見えるようになった。

 あなたに見えますか?  私の姿
 あなたに聞こえますか? 私の声

そんな問いかけも出来るぐらいまで
近づいたような…そんな…気がする。

 いつか、私にふれてよ ねえ いつまでも

そんな大それたセリフが吐けるように…なりたい。

【上田現】胡蝶の夢


【LA-PPISCH】胡蝶の夢

朝 目が覚めたら オレの顔がない!
となりのネコが 喰わえてった
このオレの顔は魚じゃないぜ
食べられる前に 返してもらおう

顔取り返したら デートするんだ
飲みにも行こう 山もいいな
想いは広がる楽しき夢
あのネコ会ったら 袋だたきだぜ!

胡蝶の夢さ 愛情表現

仮面をつけて 街を行かば
さがしつかれて ヘトヘト
なにそんな悩むことはないぜ
みんな似たり依ったりさ そうだろう

やっと見つけたあのネコなんと!
オレの顔をつけていた
しかたがないからオレは笑って
自分の顔にネコの絵を書いた

胡蝶の夢さ 愛情表現