【jul_22】胎内打ち上げ


イギリスのInternational Student Drama Festivalに参加してきた
演劇ユニット「僕たち私たち」のメンバーと英国帰りの打ち上げに参加。

COMPANY COMMENDATIONS AND AWARDS
DIRECTORS AWARDS AND COMMENDATIONS

2つのAWARDもしっかり獲得して、
実に充実したイギリス体験だったようで、
打ち上げのあいだ、笑顔が絶えなかった。

俳優が主体となって動くこのユニット、
実は日本ではあまり多くはないようで、
今回のイギリス滞在での一番の収穫は、
俳優がしっかり自立して存在している…と実感できた点。

日本の場合は、どうしても演出家や監督が中心に存在していて、
その色に染まるべく俳優たちは周囲に寄り添うようなスタンスなのだけど、
むしろ俳優が中心となって演目をチョイスし、演出家を雇う…というスタンスが、
今後の日本にも定着していけば、もっともっと演技にも幅が出るだろうし、
演劇や映画も面白いものになるのではないか…と、熱く語っていた。

たしかに、駅構内でのアナウンスを例に挙げるまでもなく、
ニッポンはどこまでも思考停止が主流だ。

「白線の内側でお待ちください」
「領収書が必要な方は、ボタンを押してください」
「3番線に急行笹塚行きが参ります」

一挙手一投足、なにをするにも前提にアナウンスが入る。

「こちらは専修大学方面改札行きエスカレータです」

目の不自由な方へのアプローチではあるけれど、
エスカレータの行き先にまで、アナウンス。

イギリスでは交通機関ではぐれるようなアクシデントも遭ったようだけど、
それって、常に個々が思考する余白を、都市が与えている状況だということ。

いちいちアナウンスするまでもなく、しっかり自分の足で、確かめなさい…と
市民に対する都市構造、社会構造のスタンスが違うのだ。

これは政治についても言えることで、
常に思考を巡らせるスタンスであれば、
ニッポンのように国民を誤魔化そう、だまそう、白を切ろう…と
小賢しい術を多用する政治家も存在できないはず。

いろんな意味で、まだまだ未成熟な国なんだ、ニッポン。

【apr_08】消費者マインドの弊害


まさにタイムリーな内容、
今日の朝日新聞。

friends after 3.11ところ
城南信用金庫の吉原頭取が「こころざし」より「カネ」に毒された
経済一辺倒の社会の歪みについて語った話を書いたけど、

内田樹さんが「仕事力」のコーナーで
「消費者マインドの弊害」という題目で
まさに同じ切り口の見識を述べていた。

  最も少ない努力と引き替えに、
  最も高い報酬を提供してくれる職種、
  それを今の人たちは「適職」と呼びます。

これは就職活動をする現代の若者に対しての警鐘として
書かれた求人欄のエッセイなのだけど、

現代の若者たちは、「賢い消費者=最少の貨幣で価値ある商品を手に入れる行為」
がすべての振る舞いの基準となっている…と嘆く。

  最低の学習努力で最高の学歴を手に入れた者が
  いちばん「賢い学生」だということ。

だから、合格ぎりぎりの60点を狙って結果70点を取ることは、
100円で買える商品に200円を払うような無駄なことだと思っている。

就活についても同じで、「特技や適性を活かした職業に就きたい」というのは、
言い換えれば「最小限の努力で最高の評価を受けるような仕事をしたい」という価値判断。

すでに自分が持っている能力や知識を高い交換比率で換金したい…と。

これはつまり、成長やポテンシャルなどの「のりしろ」を
端から認めていない、非常に狭い了見な考えで、
だからこそ、海外旅行やボランティア派遣への消極的な態度、
現状を甘んじ、改革などの切り込みに背を向けているのだろうか?

飽和状態の資本主義経済に
オルタナティブなシステムを導入しようと
日々研鑽を繰り返している内田さんからしてみれば、
「ミニマム」な行動様式を佳しとする若者たちの指向も
現在のあだ花に見えることだろう。

これもみな戦後ニッポンの思考力低下に依るところが大きいのだ。

【mar_04】砧


粟谷能の会」続いて、粟谷能生さんの「」。

互いに情愛を持ちつつも夫は仕事で故郷を離れ3年、
妻は今か今かと帰郷を待ち焦がれるが、終には寂しさのあまりこの世を去る。

死の報を聞いて無念の思いで弔いを始める夫の前に、
妻の亡霊が現れ、夫への恨みつらみを訴えるが、やがて成仏する。

なんともやりきれない話なのだが、
夫婦の情愛がすれ違う様は、現代にも通じる内容。

能生さんの演じた「妻」は
滲み出るような悲哀の情と、行き場のない恨みに溢れ、
微動だにしない立ち姿に、ぐさっと胸を突かれた。

名演。

【mar_04】人丸


粟谷尚生さんの「人丸」。

日向に流された父の行方を案じ、
鎌倉から訪れた娘、人丸。

当時の鎌倉ー宮崎間は、
死を決する旅路であったに違いない。

乞食同然となった盲目の父、景清に
なんとか再会は果たすが、回向を頼まれ別離。

もう一生、会うことはできない…という「今生の別れ」。
現代では考えもつかぬシチュエーションに、
ただただ想像を膨らますのみ。

【mar_04】景清


国立能楽堂でおこなわれた「粟谷能の会」にて。
父である人間国宝の粟谷菊生さんで評判高い「景清」を、息子である粟谷明生さんが初演した。
そして、さらに今回はご子息の尚生さんとも親子共演。
粟谷家三代にわたる芸の継承が、千駄ヶ谷の檜舞台で実現した。

平家の猛将のなれの果て「景清」の哀感漂う風情が、
絞り出すような発声と重々しい振る舞いで表されていた。