【apr_08】消費者マインドの弊害


まさにタイムリーな内容、
今日の朝日新聞。

friends after 3.11ところ
城南信用金庫の吉原頭取が「こころざし」より「カネ」に毒された
経済一辺倒の社会の歪みについて語った話を書いたけど、

内田樹さんが「仕事力」のコーナーで
「消費者マインドの弊害」という題目で
まさに同じ切り口の見識を述べていた。

  最も少ない努力と引き替えに、
  最も高い報酬を提供してくれる職種、
  それを今の人たちは「適職」と呼びます。

これは就職活動をする現代の若者に対しての警鐘として
書かれた求人欄のエッセイなのだけど、

現代の若者たちは、「賢い消費者=最少の貨幣で価値ある商品を手に入れる行為」
がすべての振る舞いの基準となっている…と嘆く。

  最低の学習努力で最高の学歴を手に入れた者が
  いちばん「賢い学生」だということ。

だから、合格ぎりぎりの60点を狙って結果70点を取ることは、
100円で買える商品に200円を払うような無駄なことだと思っている。

就活についても同じで、「特技や適性を活かした職業に就きたい」というのは、
言い換えれば「最小限の努力で最高の評価を受けるような仕事をしたい」という価値判断。

すでに自分が持っている能力や知識を高い交換比率で換金したい…と。

これはつまり、成長やポテンシャルなどの「のりしろ」を
端から認めていない、非常に狭い了見な考えで、
だからこそ、海外旅行やボランティア派遣への消極的な態度、
現状を甘んじ、改革などの切り込みに背を向けているのだろうか?

飽和状態の資本主義経済に
オルタナティブなシステムを導入しようと
日々研鑽を繰り返している内田さんからしてみれば、
「ミニマム」な行動様式を佳しとする若者たちの指向も
現在のあだ花に見えることだろう。

これもみな戦後ニッポンの思考力低下に依るところが大きいのだ。