【ESPOO】ヌークシオ自然公園 その5


3月20日。

どんどん雪山を分け入る。

湿地帯なので、
人間の歩くコースは
すべて木の橋が渡されている。

…とはいえ、雪景色で
ここが湿地だか、平地だか、
まったくわからない。

ひたすら、
木々にくくりつけられている
オレンジの布を頼りに
雪山の中へ。

トイレもなければ、
休憩する場所もない。

平地なので、登る苦労はないが、
…このdirectionで合っているのか、
…とんでもない方向へ向かってないか、
…果たしてボクたちは起点に帰れるのか、
そういった不安は、常にあった。

しかし、信じて進むしかない。

ガイドをする人間もいなければ、
インフォメーションカウンターもないのだ。

あるのは、白い雪と青い空、そして針葉樹のみ。

途中でどうしようもなく
トイレに行きたくなった。

「小」ではなく、「大」。

誰もいないのをいいことに、
コースをはずれ、用を足すことに。

まさに自然と一体化。

こんな雪山で
白い臀部をさらすとは!

マイナスの冷気が
デリケートな部分を刺激する。

それもまた、
「旅の恥はかき捨て」な貴重な体験。

雪山に湯気がのぼった。

【ESPOO】ヌークシオ自然公園 その4


3月20日。

やっと行き着いた
ヌークシオ自然公園入口。

なんてことはない、
「ここから入れ」的標識があるだけ。

5m間隔で付いている印だけを頼りに
森の中へ、分け入る。

雪山だ。

ここで路頭に迷ったら、
飛行機どころか、
凍死だって覚悟しなけりゃ、ならない。

それぐらい、
東西南北…同じ光景。

雪と木。
ただそれだけ。

【ESPOO】ヌークシオ自然公園 その3


3月20日。
とびっきりの天気。
白と青のコントラストが美しい。

国旗の色は
この白い雪と空の青、湖の青を
表しているに違いない。

歩けども歩けども
目的地のヌークシオ自然公園の入り口には
辿り着かない。

世界には
ボクたちしか
いないんじゃないか…

そんな感慨も湧いてくる。

白と青しか
存在しない世界。

ここは北緯60度の
異国の地。

【ESPOO】ヌークシオ自然公園 その2


3月20日。
雲ひとつない空。
人っ子ひとりいない。

針葉樹の雪道を
ひたすら道なりに歩く。

山のためか
一際、寒さを感じる。

ジーパンをすり抜ける冷気が痛い。

それでも
快晴のおかげで
気分は晴れやかだ。

圧倒的な自然を前にして、
不安と期待が入り交じり、
ドキドキしていた。

これこそ海外の醍醐味だ。

予想もつかないスケール。
予想もつかない恐怖。
そのスリルに興奮していた。

果たして
ヘルシンキに戻れるのだろうか。

【ESPOO】ヌークシオ自然公園 その1


3月20日。
フィンランドで
初の快晴。

しかし…。

今日の夕方には
ヘルシンキを発って
関空経由で沖縄へ。

この事実を
常に意識していないと、
乗り遅れてしまいそうな
そんな気分。

なぜって、
ボクたちは今、
フィンランドの山奥。

街頭すらない、
行き先を示すサインすらない、
バス停の停留所もないような
そんな山の中。

言われた通りに
約2キロ北上すれば
ヌークシオ自然公園の
入り口に着くらしい。

バスも行き着かない、
そんなところへ
今日出発のボクたちが
足を運んで大丈夫なのだろうか?

雪深い湿地帯のヌークシオへ
この季節に行くツーリストもめずらしいのだろう。

平日の朝ということもあって、
誰も、いない。
Nobody knows。
誰も、しらない。

【ESPOO】まずはESPOOへ


3月20日。
晴天。

郊外へ向かう列車で
ヌークシオ自然公園の入り口となる
エスポーまで。

朝7時の列車は
フィンランド人の
通勤通学時間。

自分たち以外は
日常生活のまっただ中。

こちらは
物珍しそうに
カメラを向けている。

フィンランド人にしてみれば
東洋のツーリストが
朝から何を浮かれている…と見えただろう。

「明日には居なくなる。」

なんの巡り合わせか、
あなたたちとは一緒の列車に乗りましたが、
わたしたち、明日には彼の地沖縄に戻る身。

この一期一会を
いっしょに楽しみませんか?

当然だけど、あの時以来、
フィンランドの列車には乗っていない。

でも、振り返ってみると
とても不思議なこと。

一瞬でも
時間を共有できた…と
頭でなく身体で体感できたのは
ボクには、貴重なこと。

60億以上の人間が
同じ地球上で
さまざまな生活を抱えて生きている。

そのひとりひとりが交わることって
ものすごく稀な話だし、
確率の数値で言ったって、
相当な率になるはず。

そう考えて
後ろの席にいた
この男の子を見ていたら、
なんだか切なくなって、
シャッターを押した。

【HELSINKI】奇遇な出会い その2


3月19日。
シバレル夜。
体感マイナス3度。

Jani Rosvall
フィンランドの広告代理店
Mainostoimisto PHSのコピーライター。

Petra Rosvall
フィンランドのリクルート会社で
斡旋を担当。

どちらもバリバリのイケテルカップル。

広告マン同士、一気に場は和んで
ビールまでごちそうになり、
NOKIA finlandの話や
インターネットのことなど、つたない会話で刺激しあった。

フィンランドでは
学費や医療費がすべてTAXで賄われてることや

収入における税金の割合に不満はないか?
TRAM路線内に浮浪者が多いがあれはなにか?
ヌークシオに明日行くつもりだが、あそこはどんな感じか?

…などなど、質問攻めで
場は大いに盛り上がった。

フィンランドでの再会を約束し、
別れたのだが、

未だにあの出会いは
どんなきっかけだったのだろう…と
不思議に思う。

2人が話題に窮して
観光客に質問してみたくなったのか、

何かのアンケートを採っていて
日本人観光客がターゲットだったのか。

…とか。

偶然にしちゃ、出来すぎてないか?
とにかくハッピーな最後の夜を
フィンランドで過ごすことが出来、
ますますフィンランドを愛してしまった。

【HELSINKI】奇遇な出会い その1


7月7日。
七夕。

この湿度じゃ、
年に一度のデートも
キャンセルしかねない。

おまけに人間ドック。

食を一食抜くことで
こんなにもごはんが
美味しくいただけるなんて。

   ●

3月19日。
フィンランド最後の夜。

20日のヌークシオの前に
大事な出会いがあった。

フィンランドへの憧憬を深めた
奇遇の出会い。

   ●

最後の夜…ということで
フィンランドジャズを見に行こう…と
凍てつく夜をトラムで移動。

フィンランド観光局の地図を頼りに
ジャズ屋を見つけた…はいい。

しかしライブが22時からとなっていた。

明日は朝6時起床の「最後のチャレンジ」の日。
寝坊は決してゆるされない。

現在20時。
ボクは諦めモードになって
ホステルへ戻ろうと提案した。

しかし、妻は譲らない。

「せっかくの最後の夜でしょ。
 ビールの1杯ぐらい、飲んでいこうよ」

ビール1杯、6euro。
おおお、1000円!(>_<) プライスレスな時間。
ボクは納得して、ジャズ屋に入った。

ライブは地下で行われるらしく、
1階はウェイティングバーになっていた。

ドイツのヴァイツェンを2杯注文。
味わって飲む。
MUNICHの倍の値段で、この味か…。
すでにガッカリモード。

そんなローテンションな時に、
となりのテーブルから声がかかる。

「よかったら、いっしょに飲みませんか?」
「あなた方は日本からいらしたんですか?」

きれいな英語。
そして、きれいな金髪のカップル。
どちらもフィンランド人。

ボクらはとまどいながらも、
旅の出会いを楽しむべく、
丸テーブルに同席する。

「いつからこちらに?」
「フィンランドは初めて?」
「どんな印象を持った?」

まあ、観光客に対しての
通り一遍な質問に答える。

【HELSINKI】最後のチャレンジ


3月20日。
朝6時起床。

MUNICH⇒HELSINKI
最後の一日だ。

今日夕方5時には
FIN-AIRで関西へ。
わずか9時間ほどで
日本に戻ってしまう。

朝からSAUNAを堪能し、
ホカホカした身体で
寒々としたHELSINKI中央駅へ。

最後の日にふさわしく
とびっきりの晴天。

今日は妻の念願で
Nuuksio National Parkへ。

「かもめ食堂」のポスターにもなった
フィンランドの自然を体感できる公園だ。

夕方5時のフライト。
逆算すると3時には空港に。

空港までは中央駅から30分。

ヌークシオ国立公園までは
中央駅から列車+バスで片道1時間。

…とすると、
朝7時の列車で公園に入ったとして、
滞在時間はたった2時間程度。

果たして間に合うのか!

かなり強行なチャレンジだった。

【HELSINKI】I LOVE YOU,OK


I LOVE YOU,OK この世界に
たったひとりのおまえに
オレの愛のすべてをささげる
抱きしめれば せつなくなる
オレのこの腕で いつまでも幸せにしたい

I LOVE YOU,OK ふりかえれば
長くつらい道も
おまえだけを支えに歩いた
窓辺にともる 灯りのように
オレのこの胸に
いつもおまえが 燃えてる

求めあって 生きていたい
この世界のすべてが
闇に消えても

I LOVE YOU,OK 見つめあえば
ただそれだけでわかる
誓い合った言葉は
I LOVE YOU

   ●

友人の旦那が
大の矢沢永吉ファンで
単純なボクは
すぐに感化されているんだけど

借りたDVD「TONIGHT THE NIGHT
タイトルコピーに「ありがとうが爆発する夜」
ってあるくらいの感動的な内容で。

矢沢永吉の50歳の誕生日に行われたライブなの。

アンコールでこの「I LOVE YOU,OK」を熱唱するんだけど、
この曲、矢沢のソロデビュー曲なんだね。

50歳という節目で
いろんなことが頭を巡ったんだろう。
「長くつらい道も おまえ…」
…のところでジーンとしたらしい。

永ちゃん、歌えなくなっちゃった。

泣いちゃ行けない…と天を見上げる矢沢。
人間として、感動しちゃった。

生き様だ。

50歳を感じさせない
アグレッシブなステージと
スタジアムを埋め尽くす大観衆。
ひとりで走り続けてきた男。

「長くつらい道も おまえ…」

熱い男だね。
だから、みんなついて行くんだね。
矢沢節…いいと思った。