
3月20日。
晴天。
郊外へ向かう列車で
ヌークシオ自然公園の入り口となる
エスポーまで。
朝7時の列車は
フィンランド人の
通勤通学時間。
自分たち以外は
日常生活のまっただ中。
こちらは
物珍しそうに
カメラを向けている。
フィンランド人にしてみれば
東洋のツーリストが
朝から何を浮かれている…と見えただろう。
「明日には居なくなる。」
なんの巡り合わせか、
あなたたちとは一緒の列車に乗りましたが、
わたしたち、明日には彼の地沖縄に戻る身。
この一期一会を
いっしょに楽しみませんか?
当然だけど、あの時以来、
フィンランドの列車には乗っていない。
でも、振り返ってみると
とても不思議なこと。
一瞬でも
時間を共有できた…と
頭でなく身体で体感できたのは
ボクには、貴重なこと。
60億以上の人間が
同じ地球上で
さまざまな生活を抱えて生きている。
そのひとりひとりが交わることって
ものすごく稀な話だし、
確率の数値で言ったって、
相当な率になるはず。
そう考えて
後ろの席にいた
この男の子を見ていたら、
なんだか切なくなって、
シャッターを押した。