【feb_13】こまばアゴラ劇場


三浦直之主宰の劇団ロロ「LOVE02」を観に、駒場東大前のこまばアゴラ劇場へ。

ここは平田オリザさんが「劇場を通じての若手劇団を支援する」カタチに則り、
通常の貸し小屋業務(賃貸料を取って劇団に劇場を貸す日本の従来のシステム)は行わず、
全公演を「こまばアゴラ劇場プロデュース」として劇団と協同で制作進行するハコ。

十年目を迎え、事業仕分けの影響で助成金も大幅カット、
支援会員の力だけでは存続も危うい状況になっている模様。

なんとも嘆かわしい。

東京でこんな状況なのだから、
演劇人たちの生活は貧に窮しているのが、実情だろう。

オリザが言う。
「一番の誤算は、追随する劇場が少なかったことです。
 私たちは、若手芸術家を支援するこの優れた制度が、すぐにでも日本全国の、
 特に公共ホールに広まるものだと確信していました。
 しかし残念ながら、人材を育成することが公的な劇場の責務であると認識するほどには、
 日本の公共ホールは成熟してはいませんでした。
 このことは、まだまだ時間のかかることなのだろうと実感しています。」

「劇場を通じて若手劇団を支援する」システムに
 事業仕分けなどという頭ごなしな改革で芸術の芽を軽々と摘もうとしている。

文化の多様性が、より複層的な人間を育むということを
なんで理解することができないのだろう。

呆れてしまった。

【feb_10】井田亜彩実(3)


ヨコハマダンスコレクションEX2012
contemporary dance showcaseのパフォーマンス。

井田さんとは2010年の神楽坂die pratze「ダンスが見たい!新人シリーズ」に
黒田なつ子さんと「いだくろ」として出演しているのを拝見して以来、
公演のたびに撮影してきた間柄。

セッションハウス六行会北千住八王子以外にも
昼の光で撮影をするなど、何度かセッションを重ねてきたけど、

今回のヨコハマはまた際立ってすばらしかった。

前回のcall_meが井田さんの影の部分だとすると、
今回のshowcaseは井田さんの光の部分。

でもしっかりと陰翳が備わっていて、グッと高まりを用意しているあたりが、ニクイ。

緩急の運び方といい、身体能力の高さといい、
今日のshowcaseでは群を抜いていた。

身体表現とはこういうモノを言うのだ。
言葉にならない身体の内奥からあふれる感情の波を
的確に四肢にとらえて放出する。

踊りながら時折笑顔を見せていた井田さん。
それでも「わたしはどこから来てどこへ行くのか」といった
根源的な問いをその存在と動きから醸し出しているのだから、切ない。

昨日のせつ子さんといい、今日の井田さんといい、
スケールの大きな表現を堪能できて、なんだか自分の写真もステップUP出来そうな、予感。

【feb_09】山田せつ子


せつ子さんの動作の中には、はかなさと永遠の感触があります。
奥深い記憶の底になにかがあり、身体が意味から解放されたイメージを放つ。
沈黙とは、別の場で生きられた瞬間の時。紙の影たちのように、私たちも時間の出現なのです。
そして、せつ子さんの踊りはこのことを引き起こすのです。____クロディーヌ・ドレ

青山スパイラルホールで10日からおこなわれる
山田せつ子×クロディーヌ・ドレ新作公演「Blanc」。

フランスのアーティスト、Claudine Draiの紙の彫刻に触発され、
山田せつ子さんが構築した世界は、70分およそ無音だった。

ドレの作品を間近に見入って、
そのダンスの目指しているものが
やっと理解できたのだけど、

今まで見たどのダンスにも当てはまらない
「意味」を超えた「言葉」を超えた身体表現は、
ただただ強力な吸引力でこちらの視線を釘付けにし、
「意味に変換する無意味さ」を示しているがごとく
どこまでも謎めいていて、次元を超越し、時空を交錯させる
今までの頭脳解釈を瓦解させる強烈なものだった。

終演後、しばらく放心。

自分の営んでいる日常がどれだけ浅薄な「意味論」に支配され、
溢れる情報のうわべに翻弄され、物事の深層真理から引き離されてきたか。
頭で理解することに躍起となっていることが、どれだけ莫迦げているか。

せつ子さんのダンスで、思い知らされた。

この世界こそ、ボクが求めているものだ。

山田せつ子×クロディーヌ・ドレ新作公演
「Blanc_ササヤイテイル_ツブヤイテイル」

時:2012/2/10(金)19:30
     2/11(土)15:00 & 19:30
     2/12(日)15:00

於:スパイラルホール(スパイラル3F)

構成・振付:山田せつ子

出演:山田せつ子
   寺田みさこ
   加藤奈緒子
   柿崎麻莉子

美術:クロデイーヌ・ドレ