無題/浅川マキ



雨かしら
ビルとビルの間に灯る
橙色のかすかな灯りが
窓に映えてる
そろそろ眠ろうかな

スキャンダルめいたものが
黄色のカーテンをひくと
雨で軟らかになった都会が死にかけている
春雨が静かに降っている
女はなぜ傘を閉じたままにしているか
ヴァイオリンのように軋む階段の下で

まだ眠っちゃだめ
あたしより先に

秘密の足取りで忍び込んだ猫
猫、彼は突然そこにいた
坐れば坐り
蹴られば蹴られたままでいる
気の進まぬ天使のように
「ウィンクのように」
未知の言葉を喋りながら
不意にわたしに寄り添うのか
猫の秘密の足取り
残酷なポーノグラフィよ。

降り出した雨
少し強くなったみたい
眠ろうかな
今夜は
そろそろ眠ろうかな

ねじ式/石井輝男


監督 石井輝男

とうとう11月に入ってしまった。
暦に合わせるかのように
沖縄でもいきなり北風が冷たくなってきた。

11月3日から3週間、
桜坂劇場では石井輝男監督の下記作品を上映する。
●ねじ式
●恐怖奇形人間
●異常性愛記録ハレンチ
●網走番外地~南国の対決~
●地獄
●猛獣VS一寸法師

タイトルからして、カルトな雰囲気がバンバンだが、
中身は見事にエログロ映画。

なにしろ石井監督初体験だったので、
浅野忠信主演の「ねじ式」を手始めに見に行く。

特殊メイクアーティストの原口智生さんが
石井輝男監督の映画を語るトークショーをやっていた。
興味深く聞き入る。
⇒劇場フロントでは、原口さんのつくった芸能人の「生首」が展示。
 その精巧なつくりに、ただただ驚くばかり。

つげ義春のマンガを映画化した1998年の作品「ねじ式」。
オープニングがいきなり清川虹子の大きく開かれた口。
どぎついメイクをした虹子を取り囲む舞踏集団。全員はだか。
全体に赤いフィルターがかけられている。
いきなり石井ワールドである。

主演の浅野忠信が初々しい。
つげ義春と石井ワールド。
無秩序の夢物語を再現したような
脈略のない映像世界がつづく。

展開が連想ゲームのようで、
その都度驚かされる。
原作自体がフロイトの「夢判断」的展開だから、
もともと物語を逸脱するところから始まっているので
女性の本能のような映像世界に翻弄されるのみ。

ホント、見ていて
「女性らしい展開だなあ」と思った。

脈絡や体裁を無視した、本能に赴いた
生理的な映像展開なのである。

エロスもグロテスクも手のひらに載せて
それでいて清純な処女を演じる女性のような
大胆で前後を無視した展開は、
まさに夢のまま。

すっかり石井ワールドの虜となってしまいました。

UAライヴ in 東村高江


         Moor/UA

ドアをあけるうしろ姿 貴方の顔が上手く思い出せないよ
揺れる星が花のように 遠い日の夢を唄ってみせるよ

みんなもう気がついてるのに 知らないふりだけ上手で
るり色が灰色に染まる景色には 夢の数がまだ足りないよ

65億の蟻を乗せた 小さな舟が滝から落ちる前に
舟をつなぐ岸をさがす 貴方をつなぐために手を伸ばす

みんなもう気がついているのに 知らないふりだけ上手で
るり色が灰色に燃える景色は 涙の量だけじゃ消せない

もしも貴方が選ぶのなら 私は何も決めないよ
言葉が多すぎて ちゃんと紡げなくても ただ側にいるだけでいいよ

ドアをあけるうしろ姿 君の気持ちを思い出す

       ●

生UAを初めて目にした。しかも至近距離で。
Born to be a singer
そんな言葉がしっくりするほど、その歌声は力強く
聴く者すべてを魅了するパワーがあった。

言霊…とでもいうのだろうか?

メロディと歌詞がしっかり寄り添って
彼女の裡から溢れてくる。
その大きなうねりがそのまま聴く者のカラダを貫き、
剥き出しになった感情をブルブル顫わせるのだ。

そう、UAは唄うシャーマンだった。
カラダ全体でナニモノかに唄わされている…そんなイメージ。

「たとえ真っ暗闇のブラックホールに迷っても
 自分の中にある光のイメージを放出すれば、
 自らが光を発することができる。」

彼女ならではのモノのとらえ方だと思った。
自身が媒介となって、その場の空気を唄にしている。
ものすごい感受性。だから、高江のヘリパッド問題も…

  「生理的にイヤだった」

その一言に説得力がある。

「夢」の反対語は「絶望」…との説明をあげて
唄われたこの「Moor」は、だからこそ、心底染み渡った。

やんばるの森にヘリパッドはいらない


沖縄本島北部のやんばる地域にある
在沖縄米軍海兵隊の北部訓練場。

その北半分、約4000haが日本に返還される条件として、
6カ所のペリパッド…直径45mの着陸帯と周囲15mの無障害物帯
の建設が東村高江に建設されることになっている。

東村まで那覇から車で2時間。
そのさらに奥の高江までは30分強。
人口わずか157人という小さな集落に
15カ所のヘリパッドがすでに設置されている。

現在でも昼夜問わず、集落上空、ヘリコプターの爆音が響いている。
そこへ新たに6カ所ものヘリパッドを増設する…という。
住民への説明もなしに…だ。

2007年7月2日「工事着工」の日から
毎日住民は工事用ゲートの前に座り込んで
ヘリパッド反対の抗議をしてきた。

その動きを耳にしたアーティストのUAが
座り込み激励のライブを高江の「やまがめ」で行った。
限定200名の心奮えるライブだった。

やんばる東村高江の現状(ブログ)
やんばるの森にヘリパッドはいらない
やまがめ