2005年世界旅行/ゆらゆら帝国


ヘリコプターに乗っていた子供3人
1人は2人とずっといたくて乗り込んだ
その日は天気がすぐれなくて 荒れそうだ
おまけに進路が定まら なく悩んだ
アメリカ 中国 シンガポール タイ インド キューバ チリ
フランス ウルグアイ トンガ コンゴ アイスランド チェコ
どこだって すぐ行けるんだ
行こうと思えば行けるさ だって
この空は続いてるんだ 燃料さえありゃ行けるさ

風船3個飛んでいった 北の方へ
国境なんて点線さ 世界地図じゃ
ところがなんだかわからない 壁があって
おまけに天気がすぐれなくて 荒れそうだ
アンゴラ ハンガリー ドイツ スイス イングランド ペルー
オランダ リトアニア ガーナ トーゴ ルーマニア マリ
どこだって すぐ行けるんだ
行こうと思えば行けるさ だって
この空は続いてるんだ 風さえあれば行けるさ
どこだって すぐ行けるんだ
この空は続いてるんだ
どこだって すぐ行けるんだ
この空は続いてるんだ

ザンビア 韓国 アイルランド ハイチ タンザニア 
エジプト ニカラグア ロシア トルコ ニュージーランド チャド
モザンビーク ユーゴ サウジアラビア ギニア ケニア シリア サモア ボツワナ
パナマ リビア バハマ イラク フィジー

どこだって すぐ行けるんだ
行こうと思えば行けるさ だって
この空は続いてるんだ 羽さえあれば行けるさ
どこだって すぐ行けるんだ
この空は続いてるんだ
どこだって すぐ行けるんだ
この空は続いてるんだ

      ●

20代 海外旅行離れのワケ (日経MJ新聞)

最近の20代の海外旅行離れが進んでいる。
10年前の六割強。ものすごい減衰ぶりだ。

その理由にも驚いた。
「海外に行く必要性を感じない」16.27%
「海外に関心がない」15.6%
「言葉が心配」14.02%
「なんとなく心配」9.89%

「高い料金を支払ったあげく想定外の不快な思いはしたくない」
「国内は好奇心の赴くまま安心して冒険できるから楽しい」
「東京にいればみんながうらやましがる体験ができる」
「リラックスすることが目的の休暇なのに、長期休暇が取れず海外旅行は忙しない」
「ネットやテレビの情報で想像がつくから」

これだけの理由を聞いているだけでも、
これからの日本は大丈夫か…と思ってしまう。

空洞です/ゆらゆら帝国LIVE@沖縄


ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな 穴の中
どうぞ 空洞

なぜか町には大事なものがない
それはムード 甘いムード
意味を求めて無意味なものがない
それはムード とろけそうな
入り組んだ路地であなたに出会いたい
それはムード 甘いムード
誰か 味見してみな 踊りたい
さあどうぞ ムード

ぼくの心をあなたは奪い去った
俺は空洞 でかい空洞
全て残らずあなたは奪い去った
俺は空洞 面白い
バカな子どもが ふざけて駆け抜ける
俺は空洞 でかい空洞
いいよ くぐりぬけてみな 穴の中
さあどうぞ 空洞
空洞
空洞
空洞
空洞

     ●

8月25日に発売されたチケット。
2ヵ月も前のことだったのに、
ついに10月20日の昨日、当日迎えた。

桜坂セントラルは
昼間から人だかり。

晴れ渡る空、沖縄、そしてゆらゆら。

本人とは、リハ前少しだけ言葉を交わすことが出来た。
あいかわらず訥々と「ひさしぶりだね、元気?」。
この飄々とした感じから、あのパフォーマンスが生まれるのか…と
疑問に思うほど、力が抜けている。

開場18時。
予想通りの満員御礼。
年齢層は比較的若めか。
しかし、あのゆらゆらを一目見ようと、
さまざまな人種が集まった。

開演19時。
みっしり埋まった客席から歓声があがる。
めずらしく坂本が一言、「こんばんわ。」
それを受けてどっと沸く会場。
新譜の「やさしい動物」から演奏スタート。

もうそこからは怒濤のギタープレイ。
これでもかこれでもかの音のうねりが、
こちらをトランス状態に持って行く。

ものすごいパルスが、会場内を行き来する。
上がっては下げ、上がっては下げする波動にもみくちゃにされ、
脳内オーガズムは最高潮に。

これぞ、プロフェッショナル。
一切媚びずにひたすらプレイに徹する、その姿勢。
観客は、ただその業を堪能すればいい。

2時間ものパフォーマンスで、
五感すべてが潤った、
そんな充溢した至福の時間だった。

ありがとう、坂本慎太郎。

学校へ行ってきます/ゆらゆら帝国


行ってきます

玄関を一歩外に出れば
そこは森の中
学校へ行ってきます

森の中は危険がいっぱい
でもぼくは大丈夫
学校へ行ってきます

森の朝は早い
いろんな動物 いろんなうるさい鳥
いろんなくさい草 へんなきのこ 刺す虫 わな
夜行性の生き物は寝床へ
おやすみ
ぼくは学校へ行ってきます

いろんな奴がぼくに話しかけてくる
いろんな花がぼくを誘う
森の中の一本道は長い
学校へ行ってきます

森の中は危険がいっぱい
でもぼくは大丈夫
学校へ行ってきます

森の中は危険がいっぱい
でもぼくは大丈夫
ぼくは大丈夫
大丈夫

学校へ行ってきます
学校へ行ってきます
行ってきます

    ●

いくつになっても親子の関係は変わらない。

森の中は危険がいっぱい。

でもボクは大丈夫。

学校へ行ってきます!

ホントに大丈夫か?

おはようまだやろう/ゆらゆら帝国


ぼくらが起きる と彼らは眠る
ぼくらが眠りだすころ に彼らは起きる
地球の裏にはいる 友だち たくさん

夜空をかざる 星たちが消える
朝日がまたのぼるころ に彼らは眠る
地球の裏にはいる 友だち まだ見ぬ

夜をさがして ときめきを越えて
すべてをあきらめたあとで かすかに響く
ビートがノックをする 君の窓を

さあ
おはよう
まだやろう
おはよう
まだやろう

誰かが笑う 誰かが悲しむ
どこかで笑いあう声 どこかで悲しみ
地球の裏にはいる 友だち

ああ もう 何も求めず 何も期待せず
全てをあきらめたあとで まだまだ続く
ビートがノックをする 君の窓を

さあ
おはよう
まだやろう
おはよう
まだやろう

たぬき/山之口貘


てんぷらの揚滓それが
たぬきそばのたぬきに化け
たぬきうどんの
たぬきに化けたのしても
たぬきは馬鹿に出来ないのだ

たぬきそばはたぬきのおかげで
てんぷらそばの味にかよい
たぬきうどんはたぬきのおかげで
てんぷらうどんの味にかよい
たぬきのその値がまたたぬきのおかげで
てんぷらよりも安あがりなのだ

ところがとぼけたそば屋じゃないか
たぬきは生憎さま
やっていないんですなのに
てんぷらでしたらございますなのだ

それでボクはいつも
すぐそこの青い暖簾を素通りして
もう一つ先の
白い暖簾をくぐるのだ

    ●

この詩ではじめて「たぬき」に、合点した。

なるほど「たぬきそば」は
「てんぷらそば」に化けたって意味なのね。

諸説いろいろあるみたいだが、
この理屈がいちばん、説得力があるじゃない。

「きつねそば」は
油揚げが「きつね」に似ているからってな
理由だったような。

しかし、関西では
「たぬき」が油揚げをのせたそばで
「きつね」が油揚げをのせたうどん…
というからややこしい。

しかし、江戸の町民は、洒落があって、粋だねえ。

紙の上/山之口貘


戦争が起き上がると
飛び立つ鳥のように
日の丸の翅をおしひろげそこからみんなで飛び立った

一匹の詩人が紙の上にいて
群れ飛ぶ日の丸を見上げては
だだ
だだ と叫んでいる
発育不全の短い足 へこんだ腹 持ち上がらないでっかい頭
さえずる兵器の群をながめては
だだ
だだ と叫んでいる

だだ
だだ と叫んでいるが
いつになったら「戦争」が言えるのか
不便な肉体
ともる思想
まるで沙漠にいるようだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかえる
その一匹の大きな舌足らず
だだ
だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ
群れ飛ぶ日の丸を見上げては
だだ
だだ と叫んでいる

頭をかかえる宇宙人/山之口貘


青みがかったまるい地球を
眼下にとおく見下ろしながら
火星か月にでも住んで
宇宙を生きることになったとしてもだ

いつまで経っても文無しの
胃袋付きの宇宙人なのでは
いまに木戸からまた首がのぞいて

米屋なんです と来る筈なのだ

すると女房がまたあわてて
お米なんだがどうします と来る筈なのだ

するとボクはまたボクで
どうしますもなにも
配給じゃないか と出る筈なのだ

すると女房がまた角を出し

配給じゃないかもなにもあるものか
いつまで経っても意気地なしの
文無しじゃないか と来る筈なのだ

そこでボクがついまた
かっとなって女房をにらんだとしてもだ

地球の上での繰り返しなので
月の上にいたって
頭をかかえるしかない筈なのだ

年輪/山之口貘


ふと かれに出会って
ふと キスされて
ふと かれが好きになって
ふと すばらしいとおもって

ふと ほほえんで
ふと 大きなこえをあげて
ふと 未来をちかって
ふと うつくしい生活をはじめて

ふと 子供に見とれて
ふと かれの変化に気づいて
ふと 捨てられたことをしって
ふと 涙をながして

ふと ひとりぼっちになって
ふと 身よりをたずねて
ふと 顔のしわをみつめて
ふと 眼を閉じて

    ●

本日、眼科に行く。
2週間ほど前から右眼が充血。
まぶたの内側になんだかできものが。

ひととおりの検査をしてもらう。
視力、眼圧、内障など。
左眼が視力0.1となっていることに驚く。

うちまぶたの白いできものは
どうやらシコリのようなものらしい。
異物が入って出来た疵が、そのまま固まったようだ。

これも歳のせいか。

目薬でシコリを小さくはできるが、
完全除去は手術が必要…とのこと。

おいおい、今度は眼の手術?

なんだか、いろんなところが
支障をきたしている。

ははあ、頭が一番危ないって?
そうかもしれない。

第一印象/山之口貘


魚のような眼である
肩は少し張っている
言葉づかいは半分男に似ている
歩き方が男のようだと自分でも言い出した
ところが娘よ
男であろうが構うもんか
金属的にひびくその性格の音が良いんじゃないか
その動作に艶があって良いんじゃないか
そう思いながら ひたいにお天気をかんじながら
ボクは帰ってくる
ボクは両手をうしろにつっぱって
ボクの胴体を支えている
ボクは緑の日向に足を投げ出している
足の甲に蠅がとまる

蠅の背中に娘の顔がとまっている

告別式/山之口貘


金ばかりを借りて
歩き廻っているうちに
ボクはある日
死んでしまったのだ
奴もとうとう死んでしまったのかと
人々はそう言いながら
煙を立てに来て
次々に合掌してはボクの前を立ち去った
こうしてあの世に来てみると
そこにはボクの長男がいて
むくれた顔して待っているのだ
なにをそんなにむっとしているのだときくと
お盆になっても家からの
ごちそうがなかったとすねているのだ
ボクはボクのこの長男の
頭をなでてやったのだが
仏になったものまでも
金のかかることを欲しがるのかとおもうと
地球の上で生きるのと同じみたいで
あの世も
  この世もないみたいなのだ

     ●

この達観!
真実ってなんだろう…と訝しんでしまう。