【heaven’sDoor】竹花英就


2つめはお目当ての竹花英就
2曲だけトランペットのはるかさん参加。
いったいひとりでどんなサウンドを仕掛けるのか…と思っていたら…

ハードなロカビリー調でギターをじゃらじゃら掻き鳴らしながら、
足を器用に動かし、ペダルでもってスネアやシンバルの合いの手を入れる。
巧妙なタイミングでブレイクを入れ、ウィスパーボイスでささやく…など、

その組み立ては完璧。
完全なエンターテインメントで、
最後まで飽きることなく楽しめた。

特にトランペットを絡めたタンゴ調の雰囲気は、
ゾクッとするかっこよさで、オーディエンスを魅了。

ナルシシズムの極致とも云える自己陶酔が、
逆にこちらをどんどん引き込み、
魅力が魅力を生み出す結果となった。

音楽の設計も素晴らしい。

ギターの見せ方をわかっていて
ソロの演出など笑いも作りながら、
最後は格好良く締めていた。

伊達にやってねえ…命かけてる。
そして本人が一番楽しんでる。
何よりそれがぐっと来た。

【heaven’sDoor】キヨステ


1月23日。土曜日。
お約束の三軒茶屋heaven’sDoorへ。
大学同期の竹花英就のLIVEを観に。

土曜日のせいか、2週間前よりも客の入りがいい。
今回はどんなテイストのバンドたちが集まるのか。
激しいものになるだろう…との予感はあった。

ひとつめはキヨステ
オフィシャルホームページを見ると
とてもセンスがいい。メンバーがイラストも描くようだ。

ドラムとギター&ボーカルの2ピースバンド。

これはもう、ドラムに惚れた。
ウマイヘタではなく、見ていて気持ちよかった。
楽しそうにドラムを叩いていた。

ふたりで音楽を紡ぐ作業…というのは、
なかなかむずかしい所作が求められるが、
彼らは「ふたり」を感じさせなかった。

…絵になるドラムだった。

【遠藤ミチロウ】お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました


お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
お母さん、雨の信号はいつも横断歩道のわきでパックリ口を開けているあなたの卵巣が
真っ赤に腫れあがった太陽の記憶をゴミ箱から引きずり出し
そこから一匹の虫がこそこそ逃げ出そうと
28万5120時間の暗闇をめぐりながら
夕餉の食卓に頻繁に出された玉ねぎの味噌汁を頭からかぶり
ズブ濡れになった幸福の思い出を今か今かと待ちわびる
自閉症の子供の通信欄に
「僕のお父さんは公務員です」と一人で書き込む恥ずかしさを誰かに教えたくて
放課後の来るのを待ちきれず教室を飛び出して一目散に家をめざしたのだけれど
もれそうになるオシッコを我慢して教えられた通り緑色に変わったら渡ろうとしていた信号が
実は壊れていたんだと気づいた時にはすでに終わっていたんです
お元気ですか

お母さん、頭がいいのはぼくのせいではないと自己主張する度に
宙ぶらりんの想像妊娠恐怖症からやっと立ち直った
女の下着にはいつも黄色いシミがついていて
人種差別は性欲の根源であると公言してはばからない
アメリカの政治家の演説を鵜呑みにしたような、清々しい朝の勃起で
ベトナムのバナナの叩き売りを一目見ようと
片手に自由の女神の電動コケシと
片手に赤マムシドリンクをかかえこんだ農協のじじいが
かわいい孫娘のお土産にと
上野のアメ横で流行りのジーンズを買い込んで金を使い果たし
「家族は運命共同体だ」と時代遅れの暴言を吐いて
浮浪者になってしまった挙句殺されてしまった悲しい話を思い出してはみるのです
お元気ですか

お母さん、パンツのはけない留置場は寒いです
水洗便所の流す音がうるさくてなかなか寝付けないので
犯罪者はいつもこっそりセンズリをかくのですが
「おかげであなたの夢ばかり見る」と取調室でしゃべったら
刑事はさも嬉しそうに「親孝行しなけりゃいかん」と昼飯にカツ丼をおごってくれたのですが
タヌキウドンのほうが食べたくて
「父親は嫌いだ」と言ったら自衛隊かぶれの隣りのヤクザが真っ赤になって怒りだし
「贅沢は敵だ」などと勝手なことをほざいたので
「おまえなんか生まれてこなけりゃ良かったんだ、この貧乏人め」とつい口をすべらせてしまったのです
お元気ですか

お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました
膀胱炎にかかった時から あそこを氷で冷やす快感を覚えてしまった僕は
お風呂が大嫌いになり 何枚も何枚もボロボロに皮が剥げ落ちて
剥き出しになった皮下脂肪のしつこさが絶え切れず
赤紫の玄関口で一人で泣いていたんです
お母さん、もう一度アンパンが食いたい
お母さん、正月に作ってくれた栗きんとんが食いたい
お母さん、豚肉だらけの砂糖のたっぷり入ったスキヤキが食いたい
お母さん、好き嫌いは庶民の恥です
お母さん、今朝から下痢が止まらないのです
お母さん、血管もちぎれてしまったみたいです
お母さん、血が止まらないのです 血が止まらないのです
お母さん お母さん 赤い色は大嫌いです!!

      ●

1984年「遠藤ミチロウ」としての作品。
高校生だったボクは、絶叫しながら大爆音で聴いていた。

今、youtubeで26年ぶりに耳にして、
ふたたびあの興奮…胸クソ悪い…居場所のない…
行き場を失い…抱えきれない欲望に…精液でガビガビになった…
15歳の自分が、いた。

あのミチロウが…コクーンの舞台で
ギター1本で絶叫している。

     地下鉄の
     鉄骨にも
     一本の電柱にも
     ながれている血がある
     そこでは
     血は
     立ったまま眠っている

     窓のない素人下宿の
     吐潟物で洗った小さな洗面器よ
     アフリカの夢よ
     わびしい心が
     汽笛を鳴らすとき
     おれはいったい
     どの土地を
     うたえばいい?

うそだろ!?オッサン、もう還暦じゃねぇかよ。
すげえな、そのパンク魂。

感動したぜ。

【寺山修司】血は立ったまま眠っている

【浅川マキ】裏窓/赤い橋


裏窓からは 夕陽が見える
洗濯干場の梯子が見える
裏窓からは
より添っている ふたりが見える

裏窓からは 川が見える
暗いはしけの音が聞こえる
裏窓からは
ときどきひとの別れが見える

裏窓からは あしたが見える
三年前はまだ若かった
裏窓からは
しあわせそうな ふたりが見える

だけど 夜風がバタン
扉を閉じるよ バタン
また開くよ バタン
もうまぼろしは 消えていた

裏窓からは 川が見える
あかりを消せば未練も消える
裏窓からは
別れたあとの 女が見える

   (【youtube】裏窓/寺山修司・詩)

      ●

また寺山修司の薫陶を受けた人が亡くなった。
浅川マキらしい逝き方だった。

うだうだしないで、さっぱりとこの世からいなくなった。

   「さよなら、あばよ」

      ●

浅川マキの沖縄公演があったとき、
迷わずボクはチケットを買って、
目と鼻の先で彼女の歌声を堪能した。

存在自体が、湿っていた。
その湿り気が魅力的だった。

ステージ上でもサングラスを外さず、
語りかけるように、詩を紡いでいた。
濡れガラスのような出で立ちで。

揺るがぬ世界観を
頑なに表出しつづけた。

聴いてるうちに
こちらのハートもずぶ濡れになった。

      ●

ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない
むかしむかしから橋はかわらない
水は流れないいつの日も
ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない

いろんな人がこの橋を渡る
渡った人はかえらない
赤く赤くぬった橋のたもとには
紅い紅い花が咲いている
ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない

ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない
みんなどこへ行った橋を渡ってから
いつかきっと私も渡るのさ
いろんな人がこの橋を渡る
渡った人はかえらない

    (【youtube】赤い橋/北山修・詩)

      ●

昭和の徒花が、またひとつ、摘み取られた。

    合掌。

【heaven’sDoor】0108″limitless mixed match”


1月9日。土曜日。
朝帰りで一日中頭が痛い。
またもや、やってしまった。

来週から朝方の生活が始まるから
ストイックに生きなきゃ…って、
身を引き締めなきゃいけない立場なのに、申し訳ない。

…というのも1月8日の三軒茶屋heaven’sDoorでのLIVEが
想像以上にすばらしいバンド揃いで、もう完全に箍が外れてしまった。

      ●

“limitless mixed match” …というタイトル通り、
実にさまざまな音楽ジャンルのバンドがちゃんこ鍋もびっくりな状態で
三軒茶屋heaven’sDoorに三々五々集まった。

このライブハウスも20周年と壁に書かれていたから、
歴史も長いのだけど、箱の状態も見事にビンテージ入っていて
深みのある良質のバーボンのアトモスフェアを放っていた。

個々のバンドに関しては写真とmyspaceで紹介しているから、
そちらを参考にしてもらえれば…と思うけど、
今やセルフプロデュースはバンドの使命というぐらい、
それぞれがしっかりmyspaceで音源を聴かせてくれるから、
こうやって昨日のライヴ体験を紹介するにはもってこいだ。

情報がどんどん増幅していく。…さすが東京。

しかも、そんなバンドHPのおかげで
20年来の大学の同期と邂逅する機会も得られた。

お目当てのバンド「EASY BLUEZYS」オフィシャルサイトを覗いていたら
リンク先に「TAKEHANAーhidetsugu」とある。
「hidetsugu」ってもしや…と思って訪問してみたら、…やっぱり!

同じ名前の人間なんて、人生このかた、たった一人しかお目に掛かったことがない。

だからしっかり記憶に留めてあったのだけど、まさかね。

予備校時代からロッカーな容姿で
ゆらゆら帝国の坂本慎太郎や元Rocking Timeの今野英明と
連んでいた彼、竹花英就氏。

この3人はホント、目立っていたけど、
そのまま多摩美にスライドするカタチでボクも同期で入学。

お互い遠巻きに意識している関係で、
決して言葉を多く交わすことはなかったけど、
20年ぶりに再会すると、なんとも言えぬ感慨があった。

なんといっても、20年間自分のスタンスを堅持して
今でもロッカーをやっていることが、うれしかった。

短い時間だったけど、旧交を温めることが出来て、よかった。
竹花氏のLIVEも同じheaven’sDoorで1月23日にあるとのこと。
撮影することを約束して、昨日は別れた。

      ●

東京に来てからというもの、
いろんなつながりが記憶を呼び戻すかのように復活している。

40年の歳月が事実として流れてきたことを
ここに来て実感。まさに節目の歳なんだなあ。

明日はどんな出会いが待っているのだろう。
人生って、おもしろい。

【photo】⇒ portfolio ⇒ STAGE ⇒ 0108 Heaven’s Door

【heaven’sDoor】Easy Bluezys


EASY BLUEZYS on myspace
本日お目当てのバンド。トリで登場。

Bluesを土台としながらも
トランペットとギターがコール&レスポンスを繰り返し、
ベースとドラムが激しく煽っていくスタイルは
1曲10分強という聴き応えのある展開もあり、まさに大人の音楽だ。

とにかく個人的にはトランペットにノックアウトされた。
レゲリーマンバンドの忘年会で知り合ったharukaさん。

とてもjazzyなソロを吹くなあ…と思ってはいたけど、
LIVEで見るそのアグレッシブで緩急の整ったフレージングに舌を巻いた。

終了後の打ち上げにも参加していろいろお話を聞いたのだけれど、
Woody ShawやTom Harrellが好きだなんて感性まで近く、
それを体現しちゃってるあたり、まったくもって悔しいの一言。

女性なのに…なんて穿った見方は禁物だけど、
同じ楽器をプレイする身としては、あそこまで見事に歌われると、
もうグーの音も出ない。…居るところには居るよなあ。

リーダーのcho-cooさんはじめ、ギターのfujiwaraさん、ベースのtalowさん、
みなさん年代も近く、それでいて音楽野郎なところはおんなじで
いっしょに時を過ごしていて、心地よかった。

やはり音楽の虜になった連中って感性がむき出しになっているからか、
話をしていても気持ちいいし、感動のベンチマークがあるから、
「いいものはイイ!」というわかりやすさが潔くて、いい。

はじめて会ったとは思えない親近感があった。

【heaven’sDoor】DadaD


DadaD on myspace

ボーカルKateとギターShigeのユニット。
Fairground Attractionを彷彿させる歌声と音楽センス。

この日一番の客入り。

POPで聴きやすいトラックと
ふたりのキャラクターもとても光っていて
エンターテイメントとして、楽しめた。

固定ファンを増やしてゆけるトラックの完成度で、
しかもKateの容姿が人を惹き付ける魅力を放っており、
とぼけたスタイルでストイックにギターを弾く
Shigeとのバランスも面白く、純粋に楽しめた。

終了と同時に、ほとんどの客が引けてゆく。
東京のシビアな一面を見た思い。

お目当てのバンド以外は、興味なし。
そんな客層も、このユニットらしい。
…というか、ワンマンでも十分客が呼べると思う。

【heaven’sDoor】theBACKDROPS


BACKDROPS on mypace

一番衝撃を受けたバンド。
インストのFUNKなんだか、ROCKなんだか。

メインのギタリストNoritsuguの
60年代グループサウンズばりの出で立ちとは裏腹に
とにかく激しいソロのの応酬。

もうひとりのギタリストMuraもエキセントリックで
どんどん壊れていく様にこちらもどんどん引き込まれていく。

さらにドラムのKiyotaがものすごくスタイリッシュなのに、
キレのあるドラムをたたく。

ベースのYokochinは新メンバーらしいが、
これまた骨太。控えめな様子でいてリズムにのめり込んでいく。
実はメンバーを煽っている存在。

ゆらゆら帝国の激しい感じと言えばいいのか。
とにかく見ていて引き込まれた。

【heaven’sDoor】SURGE


SURGE on myspace

千葉の稲毛から来たグランジバンド。

細身の女性Mickyがベースを激しく弾くさまは、フォトジェニック。
ボーカルのJoshphもスタイリッシュで格好良く、同じくフォトジェニック。

グランジのことは正直Nirvanaしか知らないので、
比較しようがないのだけど、ヴィジュアルインパクトがすごいので、
見てて楽しめた。

メンバー全員若さがあふれていて頼もしい。
ベースのMickyの激しさは、ほほえましくもあった。

音楽にのめりこめるって、ステキだ。

【heaven’sDoor】Assandra!


善戝和也率いる民族音楽のユニット。

コンピュータを使ってその場で打楽器をサンプリング、
リズムトラックを作ってから声を重ねていく手法。

どんどん増幅する音楽におののきながら、
トランス状態に陥る。

リズムはあくまで土着的なもの。

善戝和也さんのプリミティブな雄叫びが
根っこを揺るがすような衝動につながる。

まったくもって、古くて新しい音楽。
トランスが気持ち良いから、踊りたくなる。

すばらしい。