【西荻Aparecida】武石由起子


12月19日日曜日。
晴れていても足が冷える。
放射冷却ってやつか。

クリスマスまでの一週間、
こんな寒さが続くらしい。

ご自愛のほどを。

      ●

今日は2つのイベントへ。
ひとつは赤々舎で行われた澁谷征司黒田光一、姫野希美による鼎談。

「いつどのような対象に向けて君はシャッターを切るのか」

そんな題材を主軸におふたりのスライドショーを交え、
姫野さんを媒介のようにして会話が進んだのだけど、
単純にふたりの写真を見比べて、澁谷氏のほうが断然叙情的で、
対象への素直な投影が為されているのに対して、
黒田氏はその投影を否定するごとく利己的に情操を断絶し、
まったく以て無意味とも思えるタイミングとフレーミングで現実を切っていた。
湧き上がる感情を封印するかのごとく構えた写真は、
逆に黒田氏の心情を吐露するようで興味深かった。

結果として、写真家のキャラクターが浮き彫りになり、
写真が持つ映り込みの面白さを深化させる鼎談になった。

どちらにしても撮りに行くという能動的な姿勢は変わらないわけで、
まだまだ受動的な切り込み方をしているな…と
話の展開を反復しながら自己分析する良い機会をいただけた。

しかし、澁谷氏の写真は息を呑む美しさだった。
…ピンと張り詰めた空気感。
森閑としながらも蠢いている被写体。

「音が聞こえる…」

35万円のオリジナルプリントは
咽から手が出るぐらい欲しかった。

澁谷征司写真展「DANCE」は2010年12月25日(土)まで。
OPEN=12:00~20:00 CLOSE=月・祝日

      ●

それから場所を移し西荻窪のAparecidaへ。
あきゅらいずの文化祭で知り合った武石由起子さんのLIVE撮影。

はじめてカイピリーニャをいただく。
ブラジル版ラムと言ってもいいカシャーサを
ライムと砂糖で割った、キューバのモヒートに近い味。
酸味が鼻腔に抜ける心地よいカクテル。
すっかり気分はブラジルへ。

ブラジル北東部バイーアの音楽を歌う武石さん。
カポエイラのRodaで全員がお経のように反復して唱える音楽に
当然のことながら似ていて、

アフリカからブラジルに連れられた黒人の
土の匂い、汗の匂い、いかなるときも希望を持ち続けた生来の明るさ、
…が混淆したシンプルでいて、心躍る音楽だった。

土着宗教カンドンブレを口承しようとする
黒人たちのタフな気概が、カポエイラを生み、
バイーア独特の音楽を育て、やがてサンバへ…と流れる
ブラジルの「時代のうねり」みたいなものを聞かされると、
どんどん深入りしたくなるのが身上なのだが、

今は紡ぐべき言葉を知らない。

武石さんが言ってた
「キリスト教を強制されながらも、
 マリアの背後に土着の女神イエマンジャを見ていた」
…カリオカの野太さが、ブラジルの懐の深さを物語っている。

ボクを魅了し続ける国、ブラジル。
やはりこの眼で見て、切り取りたい。

【六本木alfie】五十嵐一生


12月18日。土曜日。
すっかり平均気温が15℃を下回る日々。

夜中の室内は冷気が足下から襲ってくる。
東京の冬。恐れていた冬がやってきた。

忘年会が一番盛り上がったこの週末、
ボクはまたもや六本木alfieへ。

世界逸産」というバンド名で
五十嵐一生さんがライブをするというので顔を出す。

思えば約一年前は一生さんのLigiaを聴いて涙していた

それから考えると、今夜の出来事は夢心地。

ライブ開始1時間前にalfieへ伺うと、一生さんが準備中。
迷わず声をかけ、ライブ撮影ができないか…とお願いしてみる。
川崎太一朗さんの写真を見せると、「何に使うの?」と問われ、
「作品として売り込んでいきたい」旨を伝えると、「ならいいよ」と快諾。

従業員の方に最低限の撮影マナーを説かれ、
週末のライブは満席で、お客様の迷惑になるから後方撮影がホントだが、
異例中の異例ということで、今回はステージ前撮影が許可されることに。

なんだかラッキーづくしで、2ステージ撮影に挑む。

六本木alfieには思い入れが深いだけに、なんとも感慨深い。
2005年に間近で見た一生さんのステージでは度肝を抜かれ、
その後のトランペット観が変わってしまったのだけど、
今回の「世界逸産」はとにかくものすごいパフォーマンスだった。

   (>_<) ドラムがGene Jackson。NY在住の黒人ドラマーで、
音がでかくキレが良かったのが、何より圧巻。
ピアノの吉澤はじめさんは、前回もalfieで拝見して魂奪われたのだけど、
今回もエキセントリックな演奏は輝きを増していた。
ベースの荒巻茂生さんは、今回お初だったのだが、
それはもうミンガスばりの顔つきでガンガン野太い音を奏で、
ボクが見たベーシストの中で一番の魅力を持ったアーティストだった。

何から何まで感動しっぱなしで、
果たしてしっかり撮影ができたのか…

満席のエグゼクティブなお客から
撮影態度のクレームが入ってなかったか、
そんなことばかりが気に掛かってしまったが、

いやいや、一生さんに頂いた機会を
しっかり活かさなければ…と奮起し、
音に反応しながらシャッターをバンバン切った。

思わぬ出来事に、こんな時間まで興奮状態。

改めて「言ってみるものだなあ」を実感。
2010年を象徴する出来事だった。

感謝。<(_ _)>

【Charles Mingus】Duke Ellington’s Sound of Love


ピアノトリオがオリジナルのブルースの演奏を終えて、ピアノが
The Star Crossed Lovers」のイントロを弾き始めた。ボクが
店にいるとそのピアニストはよくそのバラードを弾いてくれた。
ボクがその曲を好きなことを知っていたからだ。エリントンの作
った曲の中ではそれほど有名な方ではないし、その曲にまつわる
個人的な思い出があったわけでもないのだが、何かのきっかけで
耳にしてから、ボクはその曲に長いあいだずっと心を引かれ続け
ていた。学生時代にも教科書出版社に勤めていた頃にも、夜にな
るとDuke EllingtonのLP「Such Sweet Thunder」に入っている
The Star Crossed Lovers」のトラックを何度も何度も繰り返
して聴いたものだった。そこではJonny Hodgesがセンシティブで
品の良いソロをとっていた。その気だるく美しいメロディを聴い
ていると、当時のことがいつもボクの頭の中によみがえってきた。
あまり幸せな時代とは言えなかったし、ボクは満たされない思い
を抱えて生きていた。ボクはもっと若く、もっと飢えていて、も
っと孤独だった。でもボクは本当に単純に、まるで研ぎ澄まされ
たようにボク自身だった。その頃には、聴いている音楽の一音一
音が、読んでいる本の一行一行が体にしみ込んでいくのが感じら
れたものだった。神経は楔のように鋭く尖り、ボクの目は相手を
刺すようなきつい光を含んでいた。そういう時代だったのだ。
             (「国境の南太陽の西」村上春樹著)

             ●

11月05日の夜、2年ぶりに六本木alfieへ行ってみた
2年前は会社の慰安旅行で東京に来た時だから、
なんだかかなり遠い記憶に感じる。

…2年前だったか。
あの頃は会社勤めもしていて、
慰安旅行に託けてalfieへ顔を出したのか…。

そんな時代があった…んだ…と、
かなりセンシティブな心境だけれど、

今回の目的はもちろん川崎太一朗さんのブリリアントな音を聴きに。
しかしオルガンをバックに従えての演奏だとは思わなかった。

このオルガン奏者、河合代介さんがものすごいPlayerで、ハイ。

オルガンはベースを足で奏でるのだけど、
この足裁きが目を見張る素晴らしさ。
両手でソロを弾きながら
左足でGrooveたっぷりのベースラインを弾くって、
曲芸以外の何ものでもないと…ただただ口あんぐり。

目の前で繰り広げられる神業と、
レスリースピーカーから産まれてくるgroovyなサウンドと…。
いやあ、知らなかったけど、
ハモンドオルガンって、今日本で作っているのね。

とにかく驚きのFunkyTuneの連続で、リーダーを務める太田剣さんも
Cannonball Adderleyを崇拝するアルト吹きだけあって、
スケールを縦横無尽に吹き飛ばすあたり度肝抜かれたんだけど、
(ホント、alfieでは驚嘆な演奏ばかりに出会えて嬉しい)
そのFunkyなソロに気負ったのか、
川崎さんのソロは1,2曲と少しばかりGrooveが薄くて、
見ているこっちがちょっとばかりはにかんでしまう感じだったのだけど、

いやいや、さすがの太一朗さん。

びっくりしました。

このDuke Ellington’s Sound of Loveって曲で。

「Charles Mingusすげえ」って、楽曲自体にも驚いちゃって、
春樹の「国境の南太陽の西」で出てくる
The Star Crossed Lovers」思い出しちゃったんだけど、
今、聞き比べるとよお似てる。さすが、チャールス。

この気だるい感じと、スケールの大きさ。
楽曲のもつヴィジュアルイメージの懐の深さ。
これを河合さんのポリフォニックなオルガンを背に
朗々と歌う川崎さんのFlugelhornがもう、たまらなくて。

…何かのきっかけで耳にしてから、
 ボクはその曲に長いあいだずっと心を引かれ続けていた。

じゃないけど、
あの日以来、中古CD屋を巡る日々。
チャールスのあのいかつい顔からは想像つかないほど、
彼の作る楽曲はとても奥ゆかしくそんでもって奥深くて
人間の懐の深さっていうか、「JAZZは人間そのもの」って
名言吐くほどの生き様だったんだなあ…と改めて聴き入っている。

Monksにしろ、Mingusにしろ、Dolphyにしろ、
Jazzにすべてを捧げたミュージシャンが奏でる音楽は
いつ聴いても色褪せないし、センセーショナルだ。

そんな出会いを導いてくれた六本木Alfieには、
学生時代からの思い入れがあるから、
日野元彦さんの面影も感じつつ、いつも襟を正してJazzを拝聴してる。

夜な夜な徘徊して、Jazz漬けの日々で
飯が食えたら最高なのに…と、今夜もJazzに心酔。

【やちむん】@吉祥寺Manda-la2


10月11日。月曜日。
体育の日にふさわしい
雲一つない晴天。

真っ青な空。爽やかな風。
まさに行楽日和。

結婚式も相当な数、組まれているようだけど、
この天気なら、どんなカップルも幸せになるだろう。

      ●

沖縄のバンド「やちむん」のLIVEを撮影すべく
吉祥寺のMandaーla2へ足を運ぶ。

沖縄を離れてから1年。
ひさしぶりに見る生「やちむん」。

やちむんのリーダー、奈須重樹さんは、
沖縄の広告代理店にボクが入社して
初めてのお仕事で知り合って以来、
ずっとお付き合いさせてもらっている仲。

現在「やちむん」はひとりで活動されているが、
12年のあいだの変遷で、
いろいろな方と知り合うきっかけを与えてくれた。

アルバム制作にも2作関わることになり、
写真撮影のチャンスをいただいたり…と、
今の自分の立ち位置を何かしら導いた人。

今回はホントタイミングよく、
11日にLIVEがあるよ…と言うことで行ってみた。

      ●

「LIVE&TALK」ということで、
お話メインなステージだったのだけど、
いつもの奈須さんの空気感を満喫でき、
時間はあっという間に過ぎ去った。

沖縄のあの場所で聴いた…
沖縄のあのお店で歌った…
沖縄のライブハウスで涙した…

1曲1曲が思い入れがある曲ばかりで、
曲を聴くたびに沖縄の情景が頭を巡り、
なんとも胸の締め付けられる瞬間がたびたびあったのだけど、

ロード・トゥ・ナミノウエ」はぐっさり胸に突き刺さって、
その痛みで涙がボロボロと溢れてきて、しょうがなかった。

唄の成立した1980年代当初の「波の上」をドキュメントした映像を、
映画監督と撮ってYouTubeに上げたのだけど、
それが巡る巡ってカナダの歌い手と繋がることが出来た話…など、

連綿と続く戦後沖縄のカオスな状況…
アメリカ世からベトナム戦争へと至る
沖縄県民が巻き込まれた背景を聴きながら、
GIたちがどんな思いで沖縄から飛び立ったのか…と
想像をたくましくすると、「Road to 波の上」の楽曲も
どんどん胸に迫ってくる。

唄が記憶を呼び覚ます…。
なにより愛、愛だろ、愛。

奈須さんの沖縄に対する愛が、
ボクの琴線を大きく揺すったんだ。

ボク自身忘れていた沖縄への愛を
やちむん」が
思い出させてくれた。

ボクにとっての沖縄が
どんなところだったのか…
やちむん」が、奈須さんが、教えてくれた。

…涙、涙の一夜だった。

【DANCER】井田亜彩実


もうひとりは、井田亜彩実さん。

彼女は「いだくろ」のユニットとして、
何度か舞台上では撮影させてもらっていた。

しかし、今回は昼の光。

舞台上の演出された光の中では
もちろん素晴らしい存在感を発するが、
果たして昼の光では?

いやいや。

ハッとした。

こちらが完全に飲み込まれるほど、
彼女は昼の光の中で、豹変した。

富山で生まれ、自然の中で自由に育ったと…
本人のプロフィールにもあったけど、
カラダが勝手に動き出すほどに、彼女は肉体を研ぎ澄ましている。

9月20日に行われた神楽坂セッションハウス
ダンス花」も素晴らしかった。

女性デュオばかり5組。

その中でトリを務めた彼女のダンスは、
他を圧倒する際立った異彩さがあった。

自然発生的にカラダを動かすからその動きに無駄がないし、
虫けらか何かの生き物のように動きで訴えかけるから、目が離せない。

ひとりの女性としてじゃなく、
四肢を動かす生命体として、目を見張る。

妖艶さ、獰猛さ、狡猾さ、俊敏さ、すべて併せ持つ。

この写真も、そんな彼女の内から出てくる
不可解な言葉にならない動きを、ぱちりと収めた一枚。

見るほどに魅力的な、彼女の存在。

もう少し、追いかけてみようと思う。

【DANCER】竹森徳芳


09月26日。日曜日。
もうすでに9月も終わり。
来週からは10月だ。

しとしとと降る秋雨が、
夜長を演出している。

昼間はあんなに晴れていたのに、
なんだか風が冷たく、夏の面影はすでにない。

いきなり家を飛び出して
余韻すら残さないなんて、
“夏女”らしい潔さ。

後ろ髪を引かれる思いだ。

      ●

その夏の思い出じゃないが、
8月の終わり、廃校になった小学校「四谷ひろば」で
男女二人のダンサーを撮影した。

神楽坂セッションハウスのイベントで
惚れ込んだダンサーのふたり。

「ぜひとも昼の光で撮影させて」

…とお願いしてみて、半信半疑のふたりを3時間。
場所を変えては、自由に舞ってもらって、ひたすら撮った。

夏の小学校は冷房も効かず、ただただ暑い。

汗がどんどん滴り、廊下に落ちる。
ダンサーも相当な汗をかいただろう。

この労力に勝る写真を撮らなければ…と躍起になって
被写体の動きにカメラを合わせる。

しかし、しかし。

動きに合わそうとすると、なんだか意味のわからない写真に。

ここはカラダの反応を予知して、
先回りしたフレーミングがベター…と、
心の窓を全開に、相手の動きをすべてキャッチすべく、
無心になる。

最終的には、その思いが通じたような、
なんだか不思議な感覚の写真になった。

竹森徳芳さん

ホントに繊細な動きをするダンサーだ。
見ていて惚れ惚れする。
静かな表情の中に、ダンスへの熱い思いが滾っている。

      ●

彼が主宰する発電NOTEが10月のイベントに参加する。

■劇団劇場~Act In Rule~vol.3

なにやら変わったスタイルの演劇?なのか?

★地獄の対バン式演劇フェス★
6つのルールに縛られた緊張度MAXイベント!!!!!
注目の4劇団が挑む新型エンタメ!
ぶっとばせAct In Rule!!!!

★今回の指令★
 ①制限時間15分
 ②開始5分で照明が薄暗くなる
 ③開始10分で『鐘の音』が鳴る
 ④開始14分で各団体が用意したBGMが鳴る
 ⑤キスシーンを入れる
 ⑥固定台詞「ぜんぶうそ」
 ※以上を遵守すればどんな舞台作品でも可。

●2010年10月24日(日)
 昼の部 OPEN/START 14:00/14:30
 夜の部 OPEN/START 18:00/18:30

●会場 六本木morph-tokyo
 日比谷線「六本木駅」4a/6/3番出口
 大江戸線「六本木駅」7番出口 徒歩1分

●チケット
 前売/2400円(+1D 600円)
 当日/2900円(+1D 600円)
 ★全席オールスタンディングのイベントとなります。
  ご注意ください。再入場可。

なんだか面白そうだ。

【ヌルマユ永井】青い空でもアルマーニ


大人にならなきゃダメなのさ
真綿で首を吊すんだ
ひと山なんぼのプライドだ
小銭で笑顔は売れるんだ

雲がさみしい真夜中よ
町に呑まれた遠吠えよ
汚れた爪の肉片よ
目もあけられず血を流せ

空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ
空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ

賢くやらなきゃダメなのさ
メバリできっちりイケるんだ
足した引いたのモザイクは
まるで抽象的なゲージュツだ

欲しがりませんよ勝つまでは
目醒めませんよ死ぬまでは
気付きません殺すまでは
草葉の陰に血を流せ

空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ
空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ

捨てた女は夢の中で犯せ
呪われた血は墓場で恨め
生きるためならテメエなんか殺しちまえ
噛み砕きゆるいケツから血を流せ血を流せ血を流せ

それでも生きなきゃだめなのさ
死ねば誰でも神様だ

空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ
空がこんなに青いのは
そこに何にも無いからだ

青い空でもアルマーニ
青い空でもアルマーニ
青い空でもアルマーニ

青い空でもアルマーニ/ヌルマユ永井

      ●

タテタカコさんの後に出てきたのが
この「ヌルマユ永井」さん。

1曲目の「人間に会いました」から
寺山修司の「血は立ったまま眠っている」の
遠藤ミチロウを彷彿とさせる言霊。

なんとなく狡猾な存在が
「滑稽新聞」の宮武外骨につながるような気がして
ステージに釘付け。

詩人。それも叫ぶ詩人

さまざまなイメージがステージ上の男と
重なり合っては消え、重なり合っては消え、を繰り返す。

それだけ未分化な要素が、
生のまま
ダイレクトに伝わってくる。

噛めば噛むほど味が出るスルメのようだ。

札幌で活動するアーティスト。
今夜は横浜でライブをし、
明日の朝帰って昼から働くらしい。

iMPULSE!

こういう出会いが、うれしい。

【吉祥寺OnGoing】タテタカコLIVE!


09月03日、金曜日。
吉祥寺Ongoingにて、タテタカコさんのLIVE。

2階ギャラリーにて40名限定。
マイクレスに電子ピアノ。
アーティストとは目と鼻の先。
生声が空気を伝って鼓膜に届く。

「口に手つっこんで奥歯ガタガタ言わしたろか!」
の罵詈雑言じゃないけど、
「耳の穴に手つっこんで琴線ぶるぶる顫わせたろか!」
のノリ。

生声で「遠い日」を聴くと、居ても立っても居られなくなる。

タテさんの鼓動まで聞こえてきそうな、
そんな気恥ずかしい距離で、
澄んだ高音が電気を通さずそのまま耳に入る。

どろっとした生血を
手渡しされたような、戦慄。

「みんなの笑顔が続きますように」との言葉で
最後に歌われた「頬杖」。(「イキモノタチ」収録)

      ●

  自由を掴んだ君を背に
  ボクはいかに逃げようか?
  雨雲から黒い光が差し込んで
  道路に散った

  突然降り出した雨は
  ボクを叩きつけた

  弁解できない
  君が示したように
  ボクも行くだけ
  頬杖ついて

  様々な思惑がボクの視界を遮る
  時々君の白さで
  ボクを責め立てて欲しい

  怖がらず無知のまま
  いざゆかん何もない場所へ

  歩まねば進まないことを
  飛び出せば知ることを
  ギラついた眼で訴える
  頬杖ついて

  受けて立とう
  受けて立て

  9メートルの果てに
  掴めるはずだ
  君が示した 雨雲へ

      ●

様々な思惑がボクの視界を遮る
時々君の白さでボクを責め立てて欲しい
怖がらず無知のままいざゆかん何もない場所へ
歩まねば進まないことを飛び出せば知ることを

背中を後押しするような歌詞に、
我が耳を疑った。

「なにゆえ?ここまで?直截的な?」

自分を信じて毎日を生きていても
さまざまな雑念、思惑が視界を遮る。

「ホントにコレがしたかったのか?」

そんな自問が付きまとうのが、常だ。
特に表現の世界では。

無知のままいざゆかん何もない場所へ。
…歩まねば進まない。

なんと勇気の出る歌だろう?

こんな台詞をタテタカコから受け取るとは。
しかも生声で、ダイレクトに。

「耳の穴に手つっこんで琴線ぶるぶる顫わせたろか!」

…見事に心臓わしづかみにされた。
これは壮行歌だ。そう、感じた。

来週水曜から十日間、中国は雲南省へ。
…自分の感性を信じての旅。
何もない場所へ、雨雲を掴みに。

Make you Happy…みんなの笑顔がつづくように。
すべてが収斂されて、今ここに旅立つ。

そんな確信を得た。

【Element of the Moment】蒲田Star Woods Space


8月12日。木曜日。
台風が来ている影響か、朝から風が強い。

今日はこれから新幹線で仙台へ。

夜半過ぎには台風接近とのこと。
沖縄がなつかしい。

      ●

 ヘンな町だった。
 それは、ぼくが予備校の駅前の学生援護会で、
 富士見荘を紹介されてひっこしたときからの印象だった。
 どぶ川にかかったあやめ橋、その橋の名前すらなにやら
 いわくがありそうだった。一度、斎藤がぼくにその橋の名前から、
 何を連想するか訊いてきた。いつごろの昔かわからないが昔、
 このあたりの土手にあやめの花が咲き乱れていた、と答えた。
 斎藤は、あやめとは、人を殺めるという意味のあやめだと言った。
               (黄金比の朝/中上健次著1978年)

そのあやめ橋からほど近いところに、
昨夜のスターウッズスペースはあった。
Star、Woods、Space…まったく意味のない単語の羅列だ。

思った通り、内装は壁一面青く塗られ、
椰子の木の貧相なイミテーションの葉が垂れ下がり、
宇宙空間を模したようなフットライトが青く光る、
蒲田らしいLIVEスペースだった。

蒲田の「か」の字も語ることの出来ない自分が、
「蒲田らしい」だなどと、感じること自体、間違っていた。
そんな間違った感情を抱くほど、この町は止まっていた。

中上健次を読むと、どうしても文章が投げやりになった。
…そんな文章の立ち姿が、ボクは好きだった。

      ●

久々のEOMライブだった。
おそらく沖縄以来。
みなと握手を交わし、笑顔で語り合う。

桜坂のしめった夜を思い出す、慈しみ深き感覚。
ああ、なんと居心地のよい空間なのだろう。
ここが「蒲田」であることはもう、どうでもよかった。

EOMのサウンドがそこにあり、
ボクが彼らを画額に収める。
それだけで十分だ。
あとはグラス一杯のアルコールがあれば、
ほどよい酩酊が、高揚の後押しをしてくれる。

それにしても、彼らの音は、一体感がある。
昨日はガンジーのベースも絶妙な音量だった。
アキラのスリリングなハットワーク、
yu-jiのやさしい旋律。
コハモトさんのエキセントリックなグルーヴ、
ワダミツのツボを心得たハーモニー。

今夜が関東ツアー最終日。

下北沢BAR?CCOで、20時スタート。

「Song Book ツアー 2010」
出演:element of the moment
OPEN:19:00/START:20:00頃から2ステージ予定
CHARGE:2000(+オーダー分1.000-)
公演はcco@club251.co.jpにて予約可。

【UDCunion】ダンス花 vol.11


いつのまにか7月に入った。

実は今週の金曜日で、
半年務めていたビル清掃の仕事を辞した。

毎朝4時起きを半年休まず続けていたのだが、
この1ヶ月は仕事を掛け持ちしていたおかげで
2回も遅刻をしてしまった。

 「森のせいかつ」更新中!

始発に乗れなかった時の茫然自失。
これ以上の無理は利かないと悟った。
だから、辞した。

おそらくこの1ヶ月は、
平均3時間ほどの睡眠を強要していたと思う。

慢性的な睡眠不足で目の下のクマが
日増しに黒くなった。

しかし、ビル清掃の仕事から得たものは大きい。

最終日前日、産業廃棄物のトラックの運ちゃんに
明日でやめることを伝えると、堰を切ったように話し始めた。

「おら、茨城でよ、もう年金もらっているんだけんどもよ」
「孫が4つでな、来年の七五三までは続けっぺぇと思ってんだ」
「息子がな、5年前に会社辞めてな、そりゃもう就職難で」
「結局地元のさ、福祉施設をわしが斡旋してな。今も働いてんだよも」
「やめてえ、やめてえ、いいくさりよってな」
「今度辞めっときは、おら知らんからな…て言ってやったんだ」
「別に仕事ツライわけでもあるまいしな…働けって」
「おらなんかな、日に日に足腰痛くなって…たまらんよぞ」
「確実にな、去年より体力ないって、わかるんだぁ」
「そいこつ、ツライっさぁ」

…。

20分ほど、ゴミ収集の手を休めて
一方的に話してくれたんだけども、

いやあ、茨城弁があたたかくてねえ。

ボクが仕事を辞めることと、
それほどのつながりは無さそうな話ではあったけど、
こうやって身の上話してくれるって
よほど嬉しかったんだろうかなぁ。

この半年、ただ顔を合わせて
「おはようございます!」と言い合うだけの仲。

世間話するような歳嵩でもないし、
お互い真面目にゴミ収集に精出して…って感じで、
ま、たまにトイレで鉢合わせするとか。

だから、こちらもうれしかった。

「次の仕事でも、がんばっぺなぁ」

茨城弁でエールをもらって、
いやあ、気合い入るなあ。

…というわけで、4時起きはとりあえず無くなった。

      ●

写真は、先週土曜日に神楽坂セッションハウスで行われた
「咲いた咲いたダンス花vol.11」の一こま。

先月行われた「いだくろ」のおふたりが参加する
全国大学生ダンサー「UDC」ユニオンの発表があるよ…と誘われ、
計3回、撮影させてもらった。

まずは全体を流して照明のタイミングなどを共有する時間に1回、
次に照明を入れ込んでみての通しで1回、
最後は本番前のゲネプロと呼ばれる通し練習で1回。

合計カット数は1000枚を軽く超えた。

 FLICKR上にセレクト写真150枚ほどUP中!

合計11人の元大学生ダンサーたちが、
アイディアを持ち寄って構成された「らんぶる」という舞台。

様々な要素が再構築され、見ていて飽きることもなく、
本番まで合わせてボクは4回見ている訳だけど、
それぞれの回で楽しめた。

いや、でも圧巻だったのは、やはり本番で、
いままでの演技はなんだったの?と思わせるほど、
ダンサーそれぞれの気合いが違っていて、
キレがあり、俊敏でいて重厚で、すっかり魅了されてしまった。

一回り以上離れた若者たちの
肉体を駆使したパフォーマンス。

エネルギーに溢れていて、
屈託ないストレートな表出が清々しく、

やはり今の世代は、ボクら以上に肉体に敏感で、
ITなモノに囲まれているからこそ、
肉体が持つ白黒はっきりした感覚を絶対ととらえ、
生理的な善し悪しで判断しようとするのだろうと、感じた。

…おっと、眠くなってきたので、続きは明日。