
20世紀の倫理-ニーチェ、オルテガ、カミュ by 内田樹
理性の極北までたどり着き、カオスの縁から世界の無底をのぞき込んだあと、
自殺することも「跳躍」することも拒否した人間は「もとの世界に戻る」他ない。
それがカミュの選択である。
ただしそれは「不条理」以前のように、無反省的な酔生夢死をむさぼるための帰還ではない。
ノモスは脆弱な仮設造営物にすぎないことがあばかれた。
しかし、世界を超越する意味や永遠の秩序を夢見ることは「理性の自殺」にすぎない。
このふたいろの明晰な断念を携えて不条理の人間は世界に帰ってくる。
このような推論を経由して、カミュはニーチェが残した冒頭の問いを見出すことになる。
「上位審級なしに生きることが可能かどうかを知ること、
それが私の関心のすべてである。私はこの問題領域から一歩もでるつもりはない。」
【on_Flickr】0220_LA→PETALUMA