【Feb_19】世界の無意味性の自覚


20世紀の倫理-ニーチェ、オルテガ、カミュ by 内田樹

「世界の無意味性の自覚」

私がここにいま存在することのたしかさが希薄になり、
見慣れた人々が機械仕掛けの人形のように見えてくる。
私たちが不意に転落する、この状態をハイデガーは
「世界の適所全体性の崩壊」とか「世界の完全な無意義性」というふうに表現した。

ある社会学者はこれを「規範喪失」と名付けて、そのあり方を次のように記述している。

「このような限界状況はよく夢や幻想のなかに生じる。
それは、世界はその〈正常な〉面のほかにもうひとつの面があって、ひょっとすると、
今までそれと認めてきた現実の見方ははかなくて欺瞞でさえあるのではないかという
執拗な疑惑として意識の地平に現れてくる場合がある。(…)

人間存在の限界状況は、すべての社会的世界がもつ内在的な不安定さを露わにする。
社会的に規定されたすべての現実は、潜在する〈非現実〉によって脅かされ続ける。
社会的に構成された規範秩序(nomos)はすべて、
規範喪失(anomy)へと崩壊する不断の危険に直面しなければならない。」

(…)ノモスは、強力で異質なカオスの力にさらされながら建立された殿堂なのである。

【on_Flickr】0220_LA→PETALUMA