【Mar_24】千本通り亀の湯


久しぶりに京都の五番町遊廓跡を訪れた。

千本中立売を少し西へ入った一筋目を、出水のあたりまで散歩してみたのである。
むかし、まだ売春禁止法が施行されぬ前まで、
この界隈は「五番町」とよばれた遊興地の中心で、
両側に妓楼がならんでいる。

この道りだけでなく、
もうひと筋西よりの通りと交叉する東西通りが何本かあって、
その横筋も、辻のあたりはとりわけて、賑やかだった。

青や赤の小割りした窓ガラス。左右どちらからもはいれて、
す通りも出来る三角形の戸口。

手すり欄干をめぐらせた二階。
洋風とも和風ともつかぬ四角い木造洋館
京格子をこまかくはめこんだ連子窓のl一階をもつしもた屋風。

それぞれの楼風を競って立ちならぶのだが、
どの戸口にも、小火鉢をもち出して、
丸椅子に腰かけた、しわがれ声のおばはんが、
股あぶりしていて、

「ちょいと、ちょいと、あんたア」 
と道ゆく男をよびとめていた。

『五番町夕霧楼』by水上勉

【on_Flickr】THE_SENTO
消えゆく昭和の社交場〜銭湯。