
悪い芝居リインカーネーション
『春よ行くな、』
@テアトルBONBON観劇。
悪い芝居「メロメロ」に続き2本目の観劇。再演ということもあってか、
山崎彬さんの戯曲冴えまくりでした。
130分休憩なし。シンプルな舞台美術に客席までハロゲン球を吊した照明。
非常に印象的な絵作りに、交錯する人間模様。
恋愛もので括りきれない奥行きの深い作品。
二十九歳にして婚約者に失踪されてしまう主人公、天井底(てんじょう・そこ。役名です)。
自分の至らない性格に嫌気がさしたに違いない…と自分を責めるのだが、
いつのまにやら至らない自分を刷新させ前進するのではなく、
失踪した彼氏との過去へ舞い戻ることで、その至らなさを「なかったこと」にしよう…という行動に出る。
失踪した彼との記憶を再生させるためにカウンセリング通いをするのだが、
そのカウンセラーが婚約者になりすまし…と、どんどん物事が欺瞞の上塗りになる展開は、
まさに敗戦後のこの国のよう。
初めのウソが、次なるウソを産み、さらに次のウソへと続いて行く。
自分を正当化するためにまわりがウソで塗り固められていく。
ついには婚約者に成り代わったカウンセラーとの間に子どもが出来、
自分自身の「生」が「リア充」へと変貌する…という顛末は、
敗戦後のこの国が、経済至上主義で再び君臨する様と二重写しのよう。
根本がウソだから、どこまでも自律できない。
ちょっとした「ほつれ」が致命的になる人格は、まさにこの国の社会現実。
根っこがダメダメだから、糺しようがない…という救われない結末。
背筋が寒くなる作品でした。
いよいよ明日1400東京公演千秋楽。お見逃しなく。