
大森克己展_when the memory leaves you-sounds and things_vol.2@恵比寿MEM
写真に確たる意味はないが、写真は無意味ではない。優れた写真を満たしているのは、意味と無意味の両方に対立するものとしてのナンセンスなのである。
私の内/外の区別が、他者にとってはナンセンスだということ、しかしそれゆえ私と他者は知らずに重なり合っていること、
「この世界には目に見えないものや写真には写らないことがたくさんある」(大森克己)とは、そういう他者が普通に存在しているというユーモアなのだ。
スナップシューターの才能とは、「不意打ち」の「一瞬」を捉える運動神経ではなく、意味を撥ね返し空虚に背を向ける、この充実したナンセンスを維持するバランス感覚である。
大森克己の新作を観た人は、この充実したナンセンスこそ、同時代という時空間の別名であることに気がつくだろう。
(写真評論家・清水穣氏「展示に寄せて」抜粋)