【mar_14】父の愛人


父の愛人」試写前、
挨拶をする迫田公介監督。

38分間の中に凝縮された人間模様。

不在の父と関わる3人の女_娘、妻、愛人。
それぞれが不均衡な心の揺れを抱え、生きる。
父の不在が、「孤独」を弥が上にも突きつける。

その「孤独」を引き受けるか、やり過ごすか。

人間は弱い。孤独には滅法弱い。

だから人は、「その日暮らし」に
「終わらない日常」をやり過ごしている。

「愛されない」ことの恨みつらみを吐露し、悲劇の渦中に悶々とするか。
「愛する」行為に溺れ、浮ついた思いに盲目となるか。
どちらにしても日常をやり過ごすことに違いは、ない。

そのことに気づいた人間は、メンチを切って
しかと己の「孤独」を引き受けるのだ。

孤独とのタイマンを張ると、人は強くなれる。
「父の愛人」は、そんなことを想起させる映画だ。

…で、THEATRE_BROOKの「無実の子」を思いだした。
 
 「無実の子」 詞・曲/佐藤タイジ
 
  あぁ 無実の子よ 光にまみれて
  踊りつづけておくれ お願いだから
 
  そして 海へ出よう 熟れきったバナナは
  落ちて腐るだけだから 水しぶきの 光の波

  ハレルヤ 夜が明ける前の明るい星に
  ハレルヤ 赤くなり出した 東の空

  おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい あなたに逢うのが
  おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい 大事なあなたが

  あぁ 青い雨よ 乾いた街を
  祝福してください 祝福しておくれ

  タスケテ 夜が明けるまでに叫びつづけて
  なんにも 出来ないことに 膝から崩れ落ちて

  おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい あなたに逢うのが
  おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい おぉ待ち遠しい 大事なあなたが
 
  大事なあなたが 最後の 逃げ道だった

はじめこの唄を聴いたとき、
不均衡な心を「あなた」に依存する唄だと思ったのだけど、
…「逃げ道」という自覚的な台詞からして依存度の高いイメージだ。

最近、この「あなた」はピュシスじゃないか…と思うようになった。

ピュシスとはPHYSISと書いて「自然」と解する。
それも人間の主観を離れた「大いなる自然」である。

…変化する現象の根底をなす永遠に真なるもの。

人はそれぞれの人生を全うすることでしか
この三次元の世界に留まることはできない。

しかし、己の生命の源であるピュシスは、
人の存在を離れて連綿と、そこに在る。

いわば、命の根源。
これが地球誕生からの56億年間、生命を突き動かしている。

ここで語るには大きすぎる話だけど、
「孤独」を引き受ける…とは、ピュシスを感じることだと、
ボクは思うのだ。