
岩切直樹さんの著作「愛と微笑みと花」を読む。
もうすっかりTom Jobimの世界に浸かりっぱなしで、寝ても覚めてもBossa Nova なのだけど、
その著作の中でJobimの楽曲を全曲演奏する偉業に挑戦している音楽家上田力さんが紹介されていて、
彼のインタビューでとても感銘したところがあった。
「歌は伝わらなきゃ意味がない」というバーンスタインの言葉を受けて
上田さんは沖縄の唄者古謝美佐子さんを例に
彼女のアルバムの中で、ドヴォルザークの「家路」を完全に沖縄節にして歌っているんだけど、
これがすばらしいんだよ。ああいうふうに歌える人はちょっといないよ。
わざと沖縄のこぶしを入れているわけじゃないんだ。それなのに、
元から沖縄の歌のように歌っているんだよね。伴奏にしても三線を使っているわけじゃなくて、
弦楽をバックにして。だから古謝美佐子の歌一発の世界。でもそれと同じことは、
Joao Gilbertoについても言えるよね。
最近の音楽はつまらない…ということを受けて
それはやはりサウダーヂがないからなんだよね。
サウダーヂっていうのは、ブラジル音楽だけじゃなくて
どの音楽にも必要だと思うんだ。
古謝美佐子の歌だってサウダーヂがいっぱいあるんだよ。
サウダーヂとは? …ウィキから引用すると…
単なる郷愁(nostalgie、ノスタルジー)でなく、温かい家庭や両親に守られ、
無邪気に楽しい日々を過ごせた過去の自分への郷愁や、
大人に成長した事でもう得られない懐かしい感情を意味する言葉と言われる。
だが、それ以外にも、追い求めても叶わぬもの、
いわゆる『憧れ』といったニュアンスも含んでおり、簡単に説明することはできない。
ポルトガルに生まれた民俗歌謡のファド (Fado) に歌われる感情表現の主要なものであるといわれる。