【Lee Chang-Dong】シークレットサンシャイン その2


Lee Chang-Dong films “Secret Sunshine”

(さきほどの続き。)

神の赦しを得てしまった犯人と、対峙するシネ。
わたしが赦しを与えるべき相手なのに、
何故神はわたしを差し置いて彼に赦しを与えたのだ!

うなだれる、シネ。
そして完全に精神を破壊される。

信仰を支えにして
悲しみの萌芽を摘み取ってきたけれど、
もう為す術は、なかった。

「信仰なんてごまかしじゃないか!」

すり替えているだけじゃないか。

     ●

これだけの衝撃を、ボクは知らなかった。
その核心にメスを刺すイ・チャンドンの洞察力たるや。

どこまでも救われないシネの境遇。
これだけの激しさをもって演じきったチョン・ドヨンも
化け物みたいな女優だけど、
監督の人間に対する目線に、度肝を抜かれた。

結局のところ、
最後まで救われない。

ホームページでは、暖かな陽射しのようにシネを見守る
ソン・ガンホ演じるジョン・チャンの存在が救いのような書き方をしているが、

業に振り回される存在…である人間のはかなさは
どこまでいっても、救われないように思えてならない。

愛に溺れ、欲に溺れ、哀しみに溺れ、
人生ずっと流されっぱなし。

支えとなるべく、信仰やパートナーも
絶対的なものじゃない。

結局は吊り橋の上で、ぐらぐらと揺られ、へたり込むしかない。

なんで、こんなに弱い存在なんだ。

     ●

その1点に帰着して、
ボクはしばし呆然とした。

こんなにも運命に翻弄されて
突然の死を迎える。

死にたくて半狂乱になっても
己の命は奪わないのに、
支えとなっていた息子の命は
いともたやすく奪い去った。

こんなにも自由にならない人生ってなんなんだ。