【ROTHENBURG】世界の終わり


3月8日。
どんよりとした天気。

城壁に囲まれた街。

村上春樹の
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 」を思い出す。

小説では、「世界の終わり」と称された
壁に囲まれた世界がある。

人々は「心」と「記憶」を失い、
その証拠に自身の「影」をはぎ取られる。

「記憶」がないから、「時間」もない。
あるのは、取り残された「夢」だけだ。

静かで平穏な、それでいて留まっている「世界の終わり」。

ROTHENBURGの街並みにも、その気配を感じる。
14世紀の建物に沁み込む、人々の記憶。

手をかざして、その沁み込んだ「記憶」を読み取る。
外の世界の目まぐるしい変化をよそに、この街は留まっている。

留まった「記憶」を確認するかのように、
観光客が足を運ぶ。

まるで行き過ぎてしまった現代を
後悔するかのごとく。

日々変化する生活を離れ、
ただそこに留まる世界。

まさに「死」だ。

「死」の石畳を
女の子が笑顔で通り過ぎる。