
広告のネタを探す時、
ボクは「アドフラッシュ」なる業界刊行物をパラパラめくる。
今日も、最新の「アドフラッシュ」を見るともなしに見ていた。
そしたら、見つけてしまった。
宝島社の広告。
おそらくこれもfuture text前田知巳の仕事だろう。
根っこを照らし出すコピーで、いつもハッとさせられる。
今回も、このコピーを読んで
レイモンドカヴアーの詩「渡り鳥」を思い出してしまった。
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笑いが癌細胞を減らす という説がある
癌は不思議だ
末期癌を宣告されて 十年以上生きつづけている人がいる
癌は怖いけど不思議だ
最後のすこし前 突然元気になって一泊出かけたんだよ
という人の話は少なくない
癌は不思議だ というより人間の体は不思議だ というより人間は不思議だ
毎年数え切れない量の 癌関連本
癌から逃げよう
いや 癌とたたかおう
いや 癌をうけいれよう
癌は人のなかにあるのに 人は解ききれない 何と意地の悪い
「癌とは時間をかけて死と向き合うことなのです」と語る人がいた
こうなるとまるで人生そのものではないか
「でも 死んだら何も言えなくなるんだよ」と 人は想う
そうだけど そうではないのではないか
壮絶と不思議の数ヶ月 その人の生き様と逝き様に
親しい者は ずっと語りかけられながら その後を生きていくのではないか
癌で一生を終える日本人 いまや一年間 三十万人強
医療は進歩しつづけているはずなのに
人はまた 癌を考える
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…死に直面してはじめて、自分の「生」を根本から意識する。
そのとまどいを「渡り鳥」から、ボクは感じた。
結局、生きていることの不安、死んでいくことの不安は、
どれだけの思いを巡らせても、拭えるものではない。
人と人とのつながり、その愛情の網の目で、人はなんとか救われるのだ。
前田知巳も、連綿とつながる人間どうしの連鎖に
その救いを感じているのではないだろうか?
そんな気がする。