
沈痛な面持ちで病室に戻ると、6人の大部屋はすでに患者で埋まっていた。
他の病室から移られてきた体育会系の男性、
サルモネラ菌の感染で運び込まれた中学生、
同じく半月板の損傷で明日手術を受ける初老の男性。
南棟3階の病棟を眺め回すと、
実にさまざまな状況の患者たちが、
一様に沈痛な面持ちで夕方を迎えている。
両肩に取り付けた金具で頭部全体を支えている女性。
折れ曲がったベッドで苦虫を噛みしめたような苦悩を浮かべるオバア。
菌の猛威に為す術もなく、蒼白な表情で嘔吐を繰り返す学生…。
各々の凝縮された人生が、小さなベッドの上で繰り広げられている。
そこで親身な介護を執り行っている看護師は、ものすごい存在だと思った。
イヤな顔ひとつせず、オジイオバアのわがままに応える女性看護師。
病状を的確に把握し、それぞれの状況にあったプログラムでケアを施す。
夕方から朝方までの深夜勤務は、ホントに頭が下がった。
夕方6時すぎ、術前の最後の食事をいただく。
麻酔の副作用で嘔吐をした場合、異物が肺に入るのを防ぐため
術前は水も含めて何も摂取することが出来なくなる。
米ひとつぶに至るまで、ゆっくり丁寧に食事を摂る。