UNITED93


2001年9月11日から、5年…。

リアルタイムな映像が、
夜の11時過ぎに中継されているのを観て、
事の重大さに気づくことなく、
仕事を続けていた自分を思い出す。

5年という月日が流れても、
あの惨事は色褪せることなく
深く脳裏に刻まれている…とあらためて思った。

「UNITED93」である。

5年前の出来事を時間軸で再現した映画だ。
これを観ると、いかにコンピュータが発達しようとも
決断するのは人間なのだ…ということを思い知らされる。

とにかく情報が錯綜しているのだ。

ユナイテッド航空93便がニューアーク空港から飛び立った時間は朝8時42分。
そのわずか4分後に、アメリカン航空11便は国際貿易センター北棟に激突している。
そして、17分後にはユナイテッド航空175便が南棟に激突。
…これが日本時間の夜11時03分にリアルタイムで中継された。
その後、アメリカン航空77便が朝9時37分にペンタゴンに激突。

わずか1時間のあいだに、乗客計221名を乗せた旅客機が消滅してしまった。

ユナイテッド航空93便の乗客44名は、その状況を知ることなく空へ。
サンフランシスコで過ごすこれからの予定を思い描きながら、
朝食を楽しんでいるところだった。…4名の犯人を除いて。

管制センターでは、次々と起こる信じられぬ事態に困惑を極めながらも、
なんとか最良の手だてを打とうと、分刻みの決断を迫られていた。

その緊迫した状況を余すことなく、この映画は伝えている。

何より、93便内での時々刻々である。
突然立ち上がったイスラム人がひとりのCAに飛びかかり、
…一挙に機内は暗転する。

4名の犯人それぞれが計画通りの行動を遂行し、機長と副操縦士、CAを次々殺害、操縦室を乗っ取ってしまう。
機内後部へ追いやられた40名の乗客とCAは、突然の事態にパニックとなり、1名の乗客が殺害される。

爆弾を身体に巻き付け、仁王立ちする犯人。
なすすべなく、泣き崩れる女性たち。
そんな最悪の状況下であっても、機転を利かせる男性。
機内電話を使った妻とのやりとりから、
すでに旅客機3機が国際貿易センターとペンタゴンに激突している事実を知る。

        「これは自爆テロだ。」

情報を整理し、事態を分析しながらも、その導かれた事実に身体がうち震えたことだろう。
   「このままでは、俺たちもビルに突っ込んで、おじゃんだ。」
…イスラム人の思い通りには、させない。…なんとしてでも、ひっくり返さねば…。
 
その強い意志がひとつになったときの破壊力たるは、すざまじいものだ。
一丸となった乗客が、一気呵成に犯人どもをたたきのめし、占拠された操縦室へとなだれ込む。
…ふたりのイスラム人は急降下で機首を直角に下げ、対抗する。

      「機首を持ち上げろ!機首を上に上げろ!!!!!!」

しかし、磁位が大きくのしかかった操縦桿は、完全に固定され、ビクとも動かない!!!!!!

       …壮絶な、そして究極の、結末だった。

スクリーンは真っ暗となり、ユナイテッド航空93便の事実を淡々と文字で伝えた。
40名の乗員乗客全員の死亡が確認されたことを伝え、哀悼の意を表した。

ペンシルベニア州シャンクスヴィルに墜落した93便が、それでも被害を最小限に抑えられたのは、
最悪の状況下でも冷静に判断し、果敢に戦った40名の勇姿があったからこそだ…と締めくくった。

あまりにリアルで言葉を失ってしまうのだが、
5年前の事実をさらに深く心に刻むためにも、
911を前に受け止めておくべき映画だと、思った。

ユナイテッド93