
しかし、今回の救急車体験は、鮮烈な9分間だった。
たった9分。
国道58号線を横切り、そのままモノレール高架下を北上し、
市立病院前で右折するだけの距離だ。
しかし、その間の視界は、天井で輝く蛍光灯のみ。
カーテン越しに時々、車のヘッドライトやネオンサインの極彩色が乱入する。
エンジン音に混じって、自分の心拍音が、ピッピッピッと刻まれている。
その9分のあいだ、意識は限界まで張りつめていた。
「自分はもう、起きあがれなくなるのではないだろうか?」
「現実世界には、復帰できないのでは?」
そんなネガティブな思考がぐるぐると回っていた。
なぜだろう。
きっと、移動のあいだ通底奏音として流れていたサイレンが、
そのような思考を引き出していたのだと思う。
日頃は行き交う喧噪のひとつとして、いわば生活音の一部としてしか
耳にしない、救急車のサイレン。
せいぜい10秒やそこらのあいだでしか、共有しないその音を…
9分間もまるまる聴かされていたのだ。
しかも、音源の真下で…である。
時々、合いの手のように救急隊員が呼びかける。
「救急車、赤信号を直進いたします。車は脇に停車してください!」
「救急車、このまま直進いたします。そこの車!停止してください!」
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー
ウウウウウウウウウウウウウン…
大事には至らず、どうにか日曜の夜にブログを更新する状況まで復活できた。
しかし、この体験は、何かを示唆していると…思った。
考えなければ…。おのれの指針を。