【室伏鴻】〈外〉の舞踏

 彼の名が実在の彼の魅力や思考とは別の地平で
 ひとつのジャンルと形式とを形成したかに見えたまさにその時、
 掻き消えるようにして去った。

   どこへか?

 あらゆるものの声が消音するところの、
 あらゆる雑音を許容したまま未だ名指されることのない
 〈外〉があることを証するかのように…。

 その、葬送し切るなどということの到底不可能なものに殉じて。
 _すなわち〈外〉に殉ずること。〈外〉が伝承される。
 

            室伏鴻『〈外〉の舞踏』