
震災による津波で方々へ散り散りとなった墓石が
敷地内に整然と並べられていた。
荒浜のなにもない平地に集積された黒い石たち。
その黒さが質量を感じさせた。
その重さがそのまま死者の重さを想起させた。
だだっ広い海岸縁に、幾体も幾体も積み重なる震災の犠牲者たち…
そのひとりひとりの無念な思いが石から発せられているように、ボクは感じてしまった。
いや、震災で亡くなった人ばかりではないだろう。
墓石として在るからには、震災前に亡くなられた方々だろう。
そうアタマでは分かっているのだけど、
震災から5年という歳月の重さと、「なにもない」荒浜のバランスを欠いた空虚さとのギャップに、
気持ちが引き戻されてしまったのだ。
5年。5年という時間は、死者を弔うにはまだまだ短すぎる。