【上田現】1億年後のラブソング


 1億年後のラブソングを歌うぜ
 その頃はボクはただの石ころになってて
 もう すでに上も下も
 わからない程になっているのだけど

 想いばかり強くて 川原でプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて ますます固くなってゆく

 1万メートルの海の底で

 第三の月が昇っていた頃までは
 なんとなく 少し覚えているのに

 君の顔が思い出せず
 名前を呼ぼうと思ったんだけど

 想いばかり強くて やはりプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて 今は意味さえ消えていく

 深く青い青い 海の底 やさしい流れにも気づかず
 1億年後のラブソング
 ひそかに ひそかに こだまする

      ●

上田現のトリビュートアルバムを買う。

それぞれの楽曲の世界観に、「ゆれる」。

この「1億年後のラブソング」は
上田現のその想いの深さがカタチになっている気がして
一瞬にして共振した。

 その頃ボクはただの石ころになってて
 もうすでに上も下も わからない程になってるのだけど

この一節はシンプルで、そしてリアルだ。

情感だけが1億年に亘って浮遊し、
せつなさの感覚だけが残滓し…今は意味さえ消えていく。

 想いばかり強くて 川原でプルプル震えてる
 想いばかりせつなくて ますます固くなってゆく

河川敷に散らばる石ころひとつひとつが
1億年前の「せつない想い」でプルプル震えているようで、
人の想いの深さが、こちらに立ちのぼってくる。

「人の想い」…行き場を亡くした「せつない想い」が
もがきながら、それでも這い上がってくる。

 君の顔が思い出せず 名前を呼ぼうと思ったんだけど

形骸化した感情がプルプル震える様は、
ボクには、ものすごくリアルで、
カラコロカラコロ…渇いた音を立てて、共振したんだ。