【KINGSTON】クリスマスイブの夜 その3


ガンジャをくわえながら
売人でもあるラスタマンは、
TOYOTAの四駆を猛スピードで操り、
一路「パサパサ」へ。

クリスマスイブの興奮からか
街中はどこもかしこも
さまよえる若者たちで盛り上がっている。

ナイトマーケットが
路上で繰り広げられ、
ハイテンションなドレッド野郎が
「hey!」とクルマに罵声をかける。

負けじとボリュームを上げ
盛んに知り合いのレゲエソングを
聞かせるイカレタドライバー。

アップタウンから
ダウンタウンへ。

道はいきなり閑散とし、
一挙に剣呑なムードに。

車内に緊張感が走る。

「ちょっとホテルから離れすぎじゃない?」
「これってダウンタウン?」

不安な声が、ドライバーを刺激する。

「Don’t worry, men」

ジャマイカ初日に
いきなりダウンタウン。

前知識でアタマでっかちになっているJAPには
トレンチタウンは、即「HOLD UP!」なイメージ。
カモがネギしょってノコノコと罠にはまるようなもんだ。

…とクルマはいきなりダウンタウンの中心部らしき場所へ。

    「うわ」

さきほどのアップタウンとは
明らかに街のトーンが違っている。

全体の色みがダークだし、土っぽいのだ。

そこにハロゲンのオレンジ灯が妖しさを演出。
ただよう体臭とガンジャの匂い、下水も未整備な雰囲気。

路上のナイトマーケットに突っ込むカタチで
クルマはダウンタウンのただ中へ。

まさにサファリパーク状態。

唯一の安全地帯が車中。
あとはみんながゾンビに見えてくる。

その脅えを察してか、路上のラスタマンが
口々にJAPを小馬鹿にしたような暴言を吐く。

このまま路上に出たら、首根っこを捕まれて
袋だたきに遭いそうな…そんな剣呑さ加減。

とにかく、とにかく、戻って体勢を立て直さないと。