頭をかかえる宇宙人/山之口貘


青みがかったまるい地球を
眼下にとおく見下ろしながら
火星か月にでも住んで
宇宙を生きることになったとしてもだ

いつまで経っても文無しの
胃袋付きの宇宙人なのでは
いまに木戸からまた首がのぞいて

米屋なんです と来る筈なのだ

すると女房がまたあわてて
お米なんだがどうします と来る筈なのだ

するとボクはまたボクで
どうしますもなにも
配給じゃないか と出る筈なのだ

すると女房がまた角を出し

配給じゃないかもなにもあるものか
いつまで経っても意気地なしの
文無しじゃないか と来る筈なのだ

そこでボクがついまた
かっとなって女房をにらんだとしてもだ

地球の上での繰り返しなので
月の上にいたって
頭をかかえるしかない筈なのだ