
人は切ない存在だ。
EMBRACEABLE YOU
何かを抱きしめていないと、
とてもじゃないが、持たなくなる。
「おぎゃあ」と産まれてからこのかた、
少しずつ何かを失ってきた。
時には音を立てて崩れるようなこともあった。
年を取るとは、そういうことなのだろう。
感覚を鈍らせていくしか術はないのだ。
EMBRACE ME
抱きしめられたいと思うのは、
失われたモノの記憶を引き戻したいから?
おぼろげに刻まれた感触を取り戻したいから?
IRREPLACEABLE YOU
行き着く場所なんかない。
すべて寂滅してしまうんだ。
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城直樹のPERFECT WORLDを聴いた。
アコースティックギター一本で、
オーバーダビングもなしに、
ポリフォニックな音の世界を構築する
希有なギタリストだ。
彼が奏でる「PERFECT WORLD」は切ない。
「完全なる世界」とは、なんだ?
欠けることを知らない世界。
すべてが満たされた世界。
城直樹は、センシティブにPERFECT WORLDを奏でる。
一音、一音、人々の嘆きに封印をするかのごとく。
抱きしめられても満たされることのない思いを受け取るかのごとく。
COME TO PAPA, COME TO PAPA, DO
生まれ出たその日から、ずっと失われてきたその記憶を
静かに手向けるかのごとく。