嫌われ松子の一生


あの中島哲也が描く「不幸な女のシンデレラストーリー」だ。
CM制作で培われた秒刻みの映像展開とCGを駆使した演出で
ディズニーのミュージカル映画よろしく、畳み掛けてくる。

息つく暇もない。…圧倒されてしまった。

そして、感動した。…涙が出た。

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松子は自分にまっすぐ生きた。
不器用に、一途に、自分の感覚を信じ、突き進む。
乗り越えていかなきゃ…と
どんな不幸な状況でも、健気に振る舞う。

自分が招いた結果だ…と内省的に考えず、
とにかく前を向いて生きている。

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まげて のばして お星さまをつかもう
まげて 背のびして お空にとどこう

小さく まるめて 風とお話ししよう
大きく ひろげて お日さまをあびよう

みんな さよなら
またあしたあおう

まげて のばして おなかがすいたら帰ろう
歌を うたって おうちに帰ろう

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とてつもなく不幸な話なのに、
なんでこんなに元気になるんだろう。

…そんな疑問がわいた。だから、自分に置き換えて考えてみた。

まわりの顔色を伺ってばかりいるからじゃないか?
いつの間にかよけいな肉がついて、体も心も重たくなってるからじゃないか?

それでも予定調和に流されて、自分を押し殺したりしてるからじゃないのか?
ブルーハーツの歌に合わせて飛び跳ねていたあの頃は、もっとシンプルだったんじゃないのか?

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…そうか、松子はえらくシンプルだ。
周りが見えないほどシンプルで、だから傷つけもし、傷つけられもする。

もっと削ぎ落としてみても、いいんじゃないか?
自分自身をシンプルにしてみたら、もしかしたら見えてくるんじゃないか?

…やっぱり、そうなのか。
中島哲也もシンプルだもんなあ。
Simple is BEST! シンプルは強し。