
木曜日の夜にケータイメールが届いた。
大学時代の友人からだった。
「那覇に踊りの仕事で来ています。あさって本番です。」
彼女は大学卒業後バリダンスに魅せられ、バリ島にまで移住し、踊りを極めていた。
電話してみると、沖縄県立芸大の中庭でガムランと共演する…という。
さっそく土曜日に顔を出してみた。
午後7時。芸大教授が主宰する「ガムラン演奏会」が始まった。
陽が落ちて、気持ちよい風が頬をなでる。
バリの音楽が、オキナワの夕暮れに満ちる。
なんとも幸せな混淆のひととき。
…数年前の感覚がよみがえる。
バリ島のウブドでは、夕暮れとともに至る所でガムランが演奏された。
まさにトランス状態で音楽に身を投じ、悦に入った。
至福の時だった。いや、バリはすべてが至福だった。
そんな陶酔に浸りつつ観た彼女の踊りは、優雅だった。
目をカッと見開き、ピンと指先を立て、ほどよい緊張感を感じさせながらも、
全体の雰囲気は非常にゆるやかで、丸みを帯びていたように思う。
まさかオキナワで、このような異国情緒を味わえるとは…。
空が青みを深め、徐々に夜の気配が近づくと、
照明に浮き上がった踊り手たちは、さらに妖しく艶やかに映った。
バリに行きたい…。またあの至福を味わいたい…。
思わず現実逃避した土曜の夜だった。